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8-2. 面積 (4)
一方で容積率ですが、建蔽率よりも細かくイレギュラーな例外、緩和措置があり、計算がややこしいことが多いです。そのため、都市計画上で定められる「指定容積率」という考え方と、前面道路が12m未満の場合に前面道路の幅員に0.4あるいは0.6、0.8といった数値を乗じた「基準容積率」のうち、低い方が採用されます。例えば都市計画で定められた「指定容積率」が300%の場所で、一方、前面道路が4mで0.6を乗じる「基準容積率」の時には4mx0.6×100=240%となるので、容積率としては240%という数字を採用することになります。
この計算がベースとなりますが、それ以外にも建物が住宅系の用途の場合には地下の部分(平均地盤面からの高さが1m以下の部分)は全体の1/3までは容積対象算入外になります。また、共同住宅の場合には共用廊下部分は面積から除外されたり、特定道路(幅員15m以上の道路)に接続する6〜12mの前面道路のうち、特定道路から70m以内にある場合はその距離に比例して緩和を受けることができるなどなど、その他にもいろいろと緩和、例外の規定があります。
8-2. 面積 (3)
この用途地域に建蔽率と容積率の関係が紐づいています。例えば低層住居専用地域における敷地では、許容建蔽率は30,40,50,60パーセントの中から都市計画で定める数値を採用して、許容容積率は50,60,80,100,150,200といった数字から同様に採用します。住宅地では比較的低い数字が設定されている一方で、商業地では容積率の最低値が200に対して最高値は1,300という数字が設定されていて、その幅は非常に広く、都市計画によってかなり恣意的にエリアの特徴がつくられると言えるでしょう。
建蔽率はその条件によって率の緩和を受けられます。1つ目は、当該敷地が角地である場合です。敷地が道路に角で2面、面している状態で10%の許容建蔽率が上乗せされます。ただし、敷地が道路に2面面していても、敷地の角で交わらずに、敷地の手前と奥でそれぞれ面している場合には緩和はされません。また2本の道路のうちの1本が私道の場合でも角地緩和は適用されません。(ただし基準法42条1条5項で道路位置指定を受けていた場合はこの限りではないようです。)
2つ目は、その敷地が防火地域に定められている際にその建物が耐火建築物として建てられる場合です。防火地域内の100m2以上の建物、あるいは3階建て以上の建物は耐火建築物として建てることを義務づけられていますので、防火地域で建築する場合はこの内容が適用されるのはほぼ間違いないでしょう。このときにも同様に10%の許容建蔽率が上乗せされます。
8-2. 面積 (2)
続いて「延床面積」あるいは「容積率」ですが、これは当該敷地に対して床として建物が何平方メートル建てているか、あるいはそれを割合で表現したものとなり、「許容容積率」はその割合の最高限度にあたります。この数字は敷地の資産価値を考える上で極めて重要な数字です。その敷地にどの程度の床面積が得られるかということは、その床を賃貸にする上で直接的に収入に関わってくる最たるファクターです。m2あたり坪単価といった考え方がそれを如実に示していますし、賃貸物件を探す際には予算と場所に加えて広さというのは最も基本的な項目でしょう。
これら「許容建蔽率」「許容容積率」は都市計画によって定められています。ここで、いったい都市計画では何がなされているのか?という疑問が挙がります。基本的には対象となる都市をエリア毎に分けて、そこに想定する建物の用途を当て嵌める、ということを都市計画がしています。多くの場合、幹線道路沿いは高層の建物が建てられる商業地の色をぬり、駅前にも商業地の色をぬる。表から裏に入ったところでは良好な住環境を維持するために、住宅地の色を塗るといったところです。ここでベースとなるのは「用途地域」で、[8-1:高さ制限]でも少し出てきましたが、地域を指定することによって建てられる建物の用途を限定するものです。最も単純な例を想定すれば、住宅地内に工場が建てられないようにするために用途地域をコントロールすると考えれば良いでしょう。
8-2. 面積 (1)
8. オフィスビルの法律
オフィスビルに限らず、建築物を建てる際の最もクリティカルな制約の1つは面積であると言って良いでしょう。
本稿は知っている人は当然知っている当たり前な内容かもしれませんが、建築専門家以外の方と話したときに意外と正確に理解されていない方がいるという印象があります。
建築基準法上、基本的な面積の制約は大きく2つあります。「建築面積」と「延床面積」です。これらはm2(平方メートル)で表現される絶対的な量ですが、一方で敷地面積に対する割合で表現された「建蔽率」と「容積率」という数字もあります。絶対値で表現されるか相対値で表現されるかの差であって、制約をかけている内容は変わりません。
「建築面積」とは当該の敷地に対して何平方メートルまで敷地を覆っているかという数字で、「建蔽率」となると何パーセント敷地を覆っているかということになります。「許容建蔽率」という言葉がありますが、これは法的にその敷地に対して何パーセントまで建てられるのか?という値になります。このときに敷地を覆うというと書いたのは、要するに敷地上空から鉛直方向に敷地を見下ろした際に建物が占めている部分が「建築面積」に当たるということになります。
7-3. 光環境 (10)
これらの器具を組み合わせて室内空間を照らすわけですが、どこを狙って照明をするかということが照明器具選びとレイアウトに関わってきます。光源と作業面との関係からの位置づけで、直接作業面を照らす「直接照明」、直接作業面を照らさずに他の室内の面を照らす「間接照明」が考えられます。また室内の光の分布からの位置づけで、室内空間全てをまんべんなく照らす「全般照明」と局所的に照らす「局部照明」が考えられます。例えば、一般的なオフィス空間では、天井に取り付いた蛍光灯の「ベースライト」によって「直接照明」の「全般照明」をしておいて、各デスクの上で「スタンドライト」で「直接照明」の「局部照明」の組合せによって、オフィス空間の照明環境が調整されているかと思います。またレストランやバーなど雰囲気のある様な飲食店では、「間接照明」による「全般照明」をしておいて、各テーブルや各席の手元を「スポットライト」や「ダウンライト」、「ペンダントライト」で「直接照明」の「局部照明」を施したりすることが多いです。
このようなアイディアが室内の照明計画のベースとなっています。