新着情報
4-11. 駐車場 (2)
オフィスビルと駐車場というのはあまり直接的に関連するようなイメージがないかもしれません。本社ビルなどを除いて、都心のテナントビルの場合は多くの人が電車で移動するので、それほど駐車場の需要がなく、出来ればつくらない方が採算上有利だったりします。しかし、駐車場法という法律において指定された地域(駐車場整備地区)では、ある一定規模以上の建物を建てる場合に、その規模に応じた台数を設置することが義務づけられています。
例えば1500m2以上のオフィスビルについて、300m2毎に1台の駐車場の附置を求められています。つまりこの場合は5台以上の駐車場をつくらなければなりませんが、例えば下図(4-11-1)のような形で敷地内に5台の駐車場を並べることはできません。駐車場の出入口の幅が広く、その範囲で車路が歩道を跨ぐのは危険だからです。
この場合では下図(4-11-2)の様に車1台分が歩道を跨ぐ形で駐車場のレイアウトを考えることになります。
以上はあくまでも一例ですが、このように駐車場は駐車スペースと同等かそれ以上に車路に面積を取られることになり、その制約を受けながら建築の計画を進めることになります。また延床面積に応じて駐車台数が多くなるので、容積率の高い敷地の場合は更に条件が厳しいと言えるでしょう。
4-11. 駐車場 (1)
4. オフィスビルの部分
オフィスビルの設計では大部分はがらんどうの執務空間をつくり、残りはサービス部分としてコンパクトに設計します。レンタブル比という言葉がありますが、全体の面積に対して専有床面積の割合を指す言葉で、これが高いほど収益性が上がるということで経済的には優秀な設計とされるわけです。 この残りのサービス部分ですが、基準階では階段やエレベーターといった縦動線、廊下やエレベーターホールといった平面方向の動線、あるいはトイレや給湯室といった水廻り空間がそれに当たります。また、1階においては一般的にはエントランス空間があり、管理室やゴミ置場などがサービス部分として位置付けられるものです。 以上は概ね建築物内に作られる場所ですが、敷地内の屋外には自転車置場や駐車場、緑地などが計画され、それらが総じてひとつの建築としてのオフィスビルが構成されます。 これまではトピックとしていわゆる屋内の空間に注目してきましたが、今回は主に屋内外の双方に設置される可能性がある駐車場の考察をします。
8-4. 建築関連法規 (5)
また建物の個別の条件を定めるのに関連した法規があります。
例えば、建物を建てる敷地は道路に2m以上接することが条件となっていますが、その道路というのは主に「道路法」によって位置づけられた道路のことを指します。(場合によっては、土地区画整理法や都市再開発法などによる道路ということもあります。)
あるいは「下水道法」によって定められた区域内の場合はトイレを水洗トイレにしなければならないというのも、法で定められている内容です。
また「景観法」で定められた景観地区では、建物の最高高さや壁面後退、工作物の制限などがあったり、「駐車場法」で定められた駐車場整備地区において、一定規模以上の建物や特定の用途に応じて一定数以上の駐車場の設置が定められています。
また、通称「バリアフリー新法」と呼ばれる「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」では、一定規模以上の建物や特定の用途において、車椅子で円滑に移動できるような廊下の幅であったり、使いやすいエレベーターの設置の義務づけといったことがこの法律で位置づけられています。
8-4. 建築関連法規 (4)
建築基準法でいうところの「公共の福祉の増進に資する」という点で関わるのが「都市計画法」です。こちらもまずは第一条を参照しましょう。
「第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」
目的はやはり建築基準法でも謳われていた「公共の福祉の増進に寄与すること」でありますが、さらにここでは「国土の均衡ある発展」ということも言われています。この法律が制定されたのは昭和43年ですが、当時の自民党政権の政策が時代とともに象徴されている一言だと思われます。
何はともあれ、実際的な制限と手続きなどが定められており、建築基準法でも密に関わる都市計画区域や用途地域などの地区地域がこの法律で位置づけられています。第一種住居専用地域や商業地域といった用途地域のほか、高度地区、特定街区、防火地域、景観法による景観地区、風致地区、駐車場法による駐車場整備地区などが都市計画法の中で位置づけられています。
8-4. 建築関連法規 (3)
以下、建築基準法に関連する法規を追っていきたいと思います。
まずは、「建築士法」。これは建築物の設計者あるいは監理者の資格を定めるもので、その職責や免許に関する枠組みを位置づけています。そして設計に対して、建築物を建設する側の法律である「建設業法」があります。こちらも1条にその法の目的が定められています。
「第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」
この法律では建設業特有の「元請け-下請け」の産業構造を前提として、その契約関係の健全化が「適正な施工を確保」することに繋がるといった意図がみえます。「建設工事の請負契約の適正化」と書かれているのはそのことを示しています。いずれ稿を変えて詳しく書きたいと思いますが、元請けと呼ばれる発注者、建築主との契約をするゼネコンあるいは工務店は、建築の工種ごとに様々な種類の工事業者に請負契約で仕事を発注して工事を進めます。つまり実質的に建物を作るのは請負人である下請け業者なので、その「元請け-下請け」の関係の健全化が建物の品質確保のために重要であるということで法律上このような書き方がされているのでしょう。