8-5. 地区計画・総合設計制度 (19)

また総合設計においては公開空地以外にも有効空地、住宅、環境性能、防災施設といった内容が多角的に評価されます。有効空地というのは、敷地内に歴史的価値のある保存するべき建築物がある場合に、そこについては空地として評価しましょうといったこと、あるいはある程度低い位置にある屋根面は一定の係数をかけて空地として評価するといったことです。ただ建物が建っていなければ空地とするだけでなくて、弾力的に空地あるいはその上に空いているスペース(空所、といっても良いでしょう)を評価しようという方向性です。
また環境性能は再生可能エネルギー利用や環境負荷の低減を推奨する試みで、住宅用途または非住宅用途に分けてそれぞれの条件が定められています。防災設備についても、防災備蓄庫の有無、自家発電施設などの内容を評価するものです。このように総合設計では建築基準法が評価しないような内容についても包括的、多角的に建築物を評価しようという試みです。この制度が都市的にインパクトの大きい一定規模以上の開発に限っているのは実際の運用上仕方がないことかもしれませんが(許認可の手続きが一般の確認申請に比べて煩雑になるので)、規模の大小に関わらずこのような多様な評価を建築物に与えていくというのは良い試みだと思われます。

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