8-5. 地区計画・総合設計制度 (10)

もう少し地区計画の多い区を俯瞰してみます。世田谷区と足立区に次いで、江戸川区では35地区、659.6haがあります。世田谷区と同様にどちらかといえば業務地区というよりも住宅地としての環境を配慮するような地区計画が散見されます。特に都営新宿線沿線の駅周辺に地区計画が設定されていますが、これらの地名をみてみると一之江、瑞江、船堀といった水に関するものが多いことが分かります。江戸川区は西に荒川、東は江戸川に挟まれ、区内にも中川やいくつかの水路が通っており、その特徴を活かした地区計画を策定することを地区計画の目標として定めている例が多くみられます。街区割り、街路の通り方は地図で見てみると時々不可解な曲がり方をしていたりするのですが、それも河川や水路の影響でしょう。
ちなみに現在も河川が多くあることからある程度は想像出来ますが、昔は江戸川区の区域はほとんどが湿地帯だったそうです。近世になり江戸に徳川家が入城した後に、御鷹場として直轄領となり、また江戸への野菜を供給する農地として開発されました。一方でかなり水害には苦労していたようで、昭和5年に荒川放水路が造成されるまで度々被害にあっていたとのことです。

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