4-16. 空調機 (7)

空気などを暖める暖房の仕組みはこれまでの通りいくつかの仕組みがありました。一方で冷房の方はというと基本的には1つの仕組みでしかありません。物質の3態、個体/液体/気体がありますが、それらが様態を変えるとき(遷移)に、熱のやりとりがあります。液体が気体に変わる時(気化)には熱が放出されます。これが気化熱です。良くいわれる例えは、注射の前にアルコール消毒をしますが、アルコールはすぐに気化して、消毒した部分はすーっとするといったことです。この気化熱を利用して、古代エジプトでは既に冷房に近い装置が作られたといいます。それは大きな壺に水をためて奴隷が大きな団扇でその壺を扇ぐというものです。恐らくその壺は土器だったのだと思われますが、中に貯められた水が完全には閉じられていなくて、壺の表面にじわっと水分が染み出ていたのだと思います。それを団扇で扇ぐことで蒸発をさせて涼風を得ていたようです。現在でもエジプトでは素焼きの壺に水や食料を一緒に入れておいて、それを風通しの良いところにおいておくことで、壺の中のものを冷やすということをやっているようです。

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