4-16. 空調機 (4)
お湯を媒介にしたものでもうひとつポピュラーなシステムといえば、温水式床暖房が挙げられると思います。建築設備の点でいえば、日本人の1つの特徴としてはやはりお風呂が好きなので、給湯システムの技術に関しては日本には素晴らしいモノがあります。一時期はオール電化と言ってエコキュート(ヒートポンプ)を利用した電気ベースの給湯も盛り上がりましたが、東日本大震災以降はやはり省電力に消費者の嗜好が向かっています。給湯についていえば、電気でなかったらガスとなるわけで、ガスの給湯器の瞬間湯沸かしの性能や自動お湯張り、保温といった機能のお風呂が各家庭に付いているような国は日本以外に聞いたことがありません。
例えばパリでは、ガス供給が無いような古い建物もありますし、そうすると電気熱源になるわけですが、一般的には貯湯式のタンクでお湯を作って貯めておくというのが多く見られます。100リットルから200リットルの70℃程度のお湯を貯めておいてシャワーに使うわけなので、数人が連続してシャワーを浴びたり、湯船につかるということをすれば途中でお湯が無くなるリスクがあるわけです。これらは瞬間湯沸かしではないので、一旦お湯が切れたら長時間待たなければなりません。そもそもお風呂に洗い場があって1つの浴室という個室として完結している日本の習慣に対して、西欧では浴槽内で個人がすべてを済ませる方式です。
水についても、水資源は日本では豊富ですし、その点が西欧的な感覚とは違うようです。
話がかなりずれましたが、このようにガス式の給湯器が発達しているので、その給湯器を利用して同時に床暖房を温水で賄いましょうというシステムは日本では採用し易いシステムです。特に靴を脱いで生活する習慣がある我々は、床暖房は身体的にも大変心地の良いものです。ただし、温水床暖房は万が一お湯を通している配管に事故があると、水漏れは大変なことになってしまいます。
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