5-8. コンクリート (14)

ブルータリズムのブルータル[brutal]の意味は「粗野な」「乱暴な」ですが、これはイギリスの建築史家レイナー・バンハムが彼の著作の中である一連の建築の傾向を指すのに[new brutalism]という言葉を使ったのがきっかけとされています。彼が念頭に置いていたのは後期のコルビュジェの作品などで、コルビュジェ自身は[béton brut]即ち「生のコンクリート」という言葉を使って、コンクリート打放しの荒々しい表現のことを指していました。例えば、彼の後期の作品であるユニテ・ダビタシオン[unité d’habitation]やインドのチャンディーガール[Chandigarh]の議事堂などを見てみればその傾向が見て取れます。

図5-8-10:ユニテ・ダビタシオン

図5-8-10:ユニテ・ダビタシオン

また、イギリスのアリソン&ピーター・スミッソン夫妻の作品群などもブルータリズムの流れの中で説明がなされますが、コンクリートの荒々しい質感が一定の単位が繰り返される建築の表現と結びついているという点が指摘されるかと思います。コンクリートからは離れますが、他にもブルータリズムの建築家として、ジェームス・スターリングが挙げられますが、彼もレンガや鉄、ガラスといった素材を荒々しく対峙させることで独特の世界が表現されています。

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