5-8. コンクリート (9)
さてこれまで述べてきたようにエンビックから始まりプレモダンにかけて構造材、構造形式として普及してきた鉄筋コンクリート造ですが、この技術をバックグラウンドとして意匠的な言説を明確に打ち出したのは、やはりル・コルビュジェの「近代建築の5原則」[Les 5 points d’une architecture nouvelle]と考えてよいかと思います。
これを最も良く表している作品として取り上げられるのがこのサヴォア邸です。まずは5原則の内容をおさらいしてみると、
- ピロティ[les pilotis]:
- 建物を持ち上げて地上階を動線空間とする、地上階の湿気を避ける、建物の下も含めて周囲の庭を連続させる、といった目的があります。ピロティという言葉自体は「柱」という意味です。
- 屋上庭園[le toit-terrasse]:
- 伝統的な勾配屋根からフラットな陸屋根にするという意味があります。そうすることによって屋上はアクセス可能な場所となり、日光浴の場所として、あるいはスポーツやプールといったアクティビティを提供する場所となります。
- 自由な平面[li plan libre]:
- 壁構造が主流であった西洋建築において、柱梁構造として壁を非耐力壁とすることで、構造から独立した平面形状を可能とする。
- 水平連窓[le fenêtre en bandeau]:
- 「自由な平面」と同様に外壁を非耐力壁としているので、窓の上部にまぐさが必要がなくなり、水平に連続する窓が可能となります。
- 自由な立面[le façade libre]:
- これも上2点とどうように、構造から独立して率面構成が自由になるということです。
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