3-4. 近代日本のオフィスビル (5)
時代的に少し飛びますが、建築的に名作かどうかは別として、エポックメイキングな建物としては、上図の霞ヶ関ビルは挙げても良い例だと思います。1968年(昭和43)年に竣工しているので、戦後から数えて20年余りが経過しています。この建物は日本国内において初の超高層ビルとして有名です。それ以前には百尺規制と呼ばれていた建築基準法による31mの高さ規制がありました。特例を除いて31mまでしか建たなかったので、関東大震災で瓦礫となった東京都心部ではその復興の際には軒並み31mの高さが立ち並ぶスカイラインが形成されていたといいます。特例を適用した場合でも40mを少し超える程度の高層ビルがいくつかあった、とのことです。1961年の都市計画法改正時に導入された特定街区制度によって、超高層の計画が可能になり、一気に36階建て147mの建物が建ちました。それまでの最も高いビルの3倍以上のものがたったわけですから、当時の東京の都市にとっては相当大きなインパクトを与えたかと思われます。また、現在の再開発地では当たり前になっている超高層ビルの先駆的存在であることは間違いありません。
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