3-4. 近代日本のオフィスビル (1)

19世紀の中頃以降、幕末から明治期にかけて欧米からの少なからぬ影響によって近代化が進んだ日本ですが、建築も同様に一気に近代の道を歩み、現在建てられている建築物のルーツは伝統的な日本の建築というよりも、その当時を源流と考えた方が良いでしょう。以前にも書きましたが、欧米も同様に産業革命以降は近代化の道を歩み始め、19世紀には新しいビルディングタイプが数多く生まれています。以前に取り上げた例として、駅舎というビルディングタイプは汽車が使われるようになって必要となった建物で、技術の革新がもたらしたタイプだといえます。また、工場は資本家が多くの労働者を一ヶ所に集めて商品を製造する場所として、その目的に最適化した建物が工場というビルディングタイプが出来たかと思われますが、この労働者を集めて生産活動を行うということが産業革命以降の経済のあり方をバックグラウンドとしたものです。そのように考えると、会社がオフィスのみを用途とするようなオフィスビルも恐らくその時代の産物で(というのは、オフィスでされるようなデスクワークをすること自体はそれ以前にもあったので)、それも会社組織が生産活動をするようになってのことです。

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