4-14. 窓 (1)
4. オフィスビルの部分
以前にも書いたことがあるかもしれませんが、「建築」の定義の一つとして「空間や場所を隔てること」ということが考えられます。置き家具などと比較すれば分かりやすいかもしれませんが、家具はある空間の中にあるものであって、現象として空間の質を変容させる可能性はありますが、空間そのもののかたちなどを変えることはないかと思います。
例えばキャンプ場にテントを張るとします。そうするとテントの内側である「内部」とその外側である「外部」が必然的にできることになり、これはれっきとした建築行為であると言っても良いでしょう。しかし、その三角錐の形状をしたテントの中に土がいっぱいに詰まっていてその中に入れないとしたら、そのような物体(土入りテント)をキャンプ場に置くこと(それはもはやテントを「張る」とは言い難い)は建築行為であるとは言い難いところです。なぜならそこには「内側」が存在しないことになり、つまり相補的な関係である「外側」もないことになるからです。それならばピラミッドはどうでしょうか?ピラミッドは教科書的な西洋建築史の最初期に書かれているもので、西洋建築のルーツとして位置づけられている立派な建築物です。しかし、内部は殆どなく、非常に大きな三角錐のボリュームの中に相対的には微々たる内部空間が作られている程度です。ここで形は相似形であるし、僅かな内部空間があるからテントと同様の意味で建築であるとは言えないでしょう。ピラミッドの場合はその規模の大きさから、身体のスケールを超えてそのモノのこちら側とあちら側を分けている、簡単に言えばあちら側が見えない、というレベルで空間を分断しているので、それは立派な建築だと考えられているのではないでしょうか。
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