9-4. NEWS X (4)

さて、脱線しながら土地の履歴をみてきました。このような履歴の名残か、西側の建物との間にはかなり昔から街路を横断する道があったようで、その部分は現在も通路として残しましょう、という取り決めを近隣住民間で交わしていました。幅2m程度の通路なので、おそらくそちら側に長屋の入口が並んでいたことでしょう。細長い敷地を短手方向に切るような路地はこの界隈にはいくつもあったようです。敷地の与件として、通路を確保しつつも、敷地内上部は建物として建てても構わないということだったので、構造的にはオーバーハングするというのがこの敷地の大きな特徴でした。
一方で中央区には建物を建てる際には「地区計画」という制度が地域によっては存在します。建築基準法をずらして、地域の特性に見合った建築計画、まちづくりが可能なように、という意図で20年ほど前に定められた制度です。色々と内容はあるのですが、ここでは大雑把にメリットとしては容積率が緩和されたり、道路斜線が適用外となったりします。そのために道路境界から建物をセットバックさせて、特定の用途を建物内に入れるということをしています。
計画としては当然、容積率を最大限に使い切りたいのですが、一方で最高高さが32mまでという制限が道路斜線の代わりに導入されていて、容積率を使い切って普通の作り方をしてしまうと、最高高さを超えてしまい成立しなくなりますし、最高高さから抑えていくと今度は室内の天井高さが全く取れないということになってしまいます。

最新記事40件を表示