9-3. 色 (3)

さて建物単体としては自由に色をコントロールは出来るでしょうが、それが社会的に受け入れられるかというと、また違った論点になります。数年前に話題に上りましたが、漫画家の楳図かずおさんの自邸が紅白のストライプで外壁が着色されているということで、近隣住民から訴えられるということがありました。

図9-3-3:楳図かずお邸

図9-3-3:楳図かずお邸

この建物がいわゆる吉祥寺の住宅街に地域に建ったのが、この事件のすれ違いだったのかも知れません。例えばネオンが煌めく新宿の歌舞伎町に建てば対して目を引くこともない建物だったでしょうが、緑豊かな閑静な住宅街であるというイメージを住人、あるいは一般の方々が抱いているということが、この種の議論のきっかけになったことでしょう。実際に訴状では「住民は景観破壊で平穏に暮らせず、騒音被害ならぬ『騒色被害』を受ける危機に直面している」と記述されていたようで、色が人に対して被害を及ぼす可能性について言及されていました。
事の顛末としては、東京地裁の判決では「周囲の目を引くが、景観の調和を乱すとまでは認められない」として、原告敗訴、楳図かずお氏が勝訴となっています。

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