4-8. 階段 (8)

先述のダヴィットの絵画、ナポレオンの戴冠の絵がありましたが、歴史上のワンシーンに階段が登場して来ることは度々見られます。

図4-8-7:Fontainebleauの階段

図4-8-7:Fontainebleauの階段

上の建物はパリの南東部にあるフォンテーヌブロー[Fontainebleau]の宮殿の正面の階段です。土地としては12世紀頃にはフランス国王の領地になっていて、歴代のフランス王に愛され使われ続けた宮殿です。16世紀初頭のフランソワ1世時代に現在の宮殿の骨格がつくられ、その後の歴代の王が増築や改修を重ねて現在に至っているので、ルネサンス以降のフランスの建築様式が融合しておりとてもユニークな建物になっています。中庭を囲むように建物が配置されていますが、その正面となっているのがこの写真の馬蹄形の階段が取り付いている部分です。
ナポレオンが失脚した際にフォンテーヌブローに滞在していて、ここから幽閉、島流しに遭うときに、この中庭に整列した軍の面々に対して、階段の上から「adieu a mes enfants!」(さらば、我が息子たち!)と言って階段を下りて迎えの馬車に乗って去って行くという歴史上のシーンが有名です。やはりここでも「階段を下りる」=「失脚」という関係から、階段が象徴する権威ということを考える上で興味深い歴史のワンシーンです。

図4-8-8:ナポレオン/Fontainebleauの階段

図4-8-8:ナポレオン/Fontainebleauの階段

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