4-8. 階段 (4)

幾分話がずれていますが、階段の形というものが「階を上がる」という機能に伴い、必然的に重力に対する身体の動きに密接に関わっていることは分かるかと思います。その段差が足を上げて上がれる程度であれば階段と言えるが、手を上げてやっと届く様な壁の様な段差はあくまでも段差であって、階段にはなり得ないということです。この点は身体のスケールとは縁が切れている屋根とは違った階段の祖型的な有り様だと言えるでしょう。
以上は階段が階段たるかたちについての話でしたが、続いて別の観点から階段を考えてみます。階段の目的としては、身体が階の上下を移動するということですが、結果として2つの身体があるとすればその位置関係は上と下に分かれます。日本語でも立場の違いを上下関係といったり、身分を高い低いといった表現をしますが、それは現実の空間における身体の位置関係でも全く同じだということは容易に想像ができるかと思います。

図4-8-3:大政奉還

図4-8-3:大政奉還

上図は大政奉還の時の様子を描いていますが、階段とも言えないような1段で身体の位置の差をつくり、身分の差が表象されています。

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