4-6. 壁 (1)

4. オフィスビルの部分

室を構成する部分について、床、天井に続き、次は壁に関する考察です。
床と天井は水平面であったのに対して、言わずもがな壁は垂直面です。室を抽象的な直方体と想定すると、6面のうちの4面は壁で占められています。また、その室の中に人を想定すると、人は寝ていない限り概ね水平方向に視線を向けていますので、視野の多くにおいて壁面が占められているのではないでしょうか。
また前回の天井と屋根の議論にもあったように、建築の外側と内側という意味合いにおいては、壁も室内に面した壁と屋外に面した壁ということで、意味も機能も、そもそも素材も違います。とはいえ、呼称はというと両者とも「壁」で一括りに出来てしまいます。強いて言うならば、外側に面した壁を外壁と呼びますが、それに対して室内側の壁を内壁と呼ぶことは稀で、やはり壁は壁です。
これは英語でもフランス語でも同じことで、屋根と天井はそれぞれ、”roof””ceiling”(英語)、”toiture””plafond”(フランス語)と呼ばれますが、壁に関しては日本語と同じく特に外も内も分け隔てなく”wall”であったり、”mur”であったりします。

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