4-5. 天井と屋根 (4)

みなさんは中小規模のオフィスビルの屋上に上った事はあるでしょうか?戸建ての住宅などとは違って、オフィスビルでは勾配屋根である事は少なく、ほとんどがフラットな屋根をしています。元来、屋根が傾斜をしていたのは、降って来た雨水を処理するためであり、また屋根を支える構造的に三角形のトラス状の架構とする事が理に適っているためです。近代以降、鉄筋コンクリート造や鉄骨造が発明されたことや防水技術の発展により、フラットな屋根が可能になりました。
ル•コルビュジェが近代5原則の1つとして「屋上庭園」を提唱しましたが、それもこれらの技術的な進化が前提となってのことです。マルセイユにあるユニテ・ダビタシオンの屋上を見れば分かりますが、それは本来的にはまさに庭園としての屋上が想定されていました。住人が集える2つ目の大地として、多様なアクティビティが想定されていました。

図4-5-3:ユニテ・ダビタシオン

図4-5-3:ユニテ・ダビタシオン

しかし、コルビュジェがそれらを提起していたのは、今となっては100年近く前です。その時には家庭用電気はあまり普及していなかったでしょうし、ましてはエアコンなんてなかった時代です。

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