4-4. 床 (5)

フローリングの床を使っているオフィスはあまり多くはないでしょう。私たちがオフィスビルの執務空間を設計する時には大抵、床材にはビニルタイルやタイルカーペットを選択します。理由は概ね使用上の要請からきていて、例えばOAフロアからの配線を立ち上げるのにタイルカーペットであるならば、簡単に線を取り出せること、あるいはタイルカーペットであるならばとにかく繰り返し敷き込むだけで簡単に床面を作れることであったりします。またロールのカーペットと違って、部分的に汚した時にはその部分だけ取り合えれば済んでします、というメンテナンス上のメリットもあります。但し、意匠的にはどうしても凡庸になりますし、とても見慣れた単位の繰り返しになるのであまり面白いものではありません。
ビニルタイルというのも割と同様の理由でオフィスの水廻りに使用されている素材でしょう。もちろんカーペットとは素材感は全く違いますが、主たる違いは撥水性というところだけで、目的的なポイントはきっと一緒でしょう。
ところでオフィスビルというとこれらの床材はかなり形骸化して使用されてしまっているように思います。いずれOAフロアの必要性も無くなれば、オフィス床の意匠的な自由度はきっと高まっていくことでしょう。

最新記事40件を表示