5-3. タイル (6)

これまで国外におけるタイルの歴史的な流れを簡単にみてきましたが、日本についてはどうでしょうか。
記録に残っているのは538年に仏教が百済から伝来した時のこと、仏寺を建立するにあたって中国から寺工、画工とともに、瓦博士も同様に送られたという記述が、588年の日本書紀に残っているようです。この瓦博士が日本における初めてのタイルを作ったということになります。瓦とタイルは違うのでは?という疑問が挙がりそうですが、タイルというのは焼物で表面を覆ったものという定義に還れば、瓦もいわばタイルの一種ということになります。ところで、6世紀の時点で瓦が中国から伝来したということは、それ以前の日本建築には瓦屋根が載っていなかったということになります。恐らく茅葺きや杮葺きなど、自然素材をそのまま屋根に載せた簡素なものだったのでしょう。

図5-3-6:飛鳥寺

図5-3-6:飛鳥寺

ちなみに、この日本最初のタイル、瓦で葺かれた建築物は飛鳥時代の飛鳥寺だったそうで、平瓦を敷き詰めて、ジョイント部分に丸瓦を載せるという構成は現在の建物でもみられます。(但し、瓦そのものはオリジナルではありません。)ちなみに日本に現存する最古の瓦といわれるのは、元興寺のものといわれています。

図5-3-7:元興寺

図5-3-7:元興寺

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