8-1. 高さ制限 (5)

このように大きく3種類の斜線による高さ制限がありますが、2003年に「天空率」という考え方で斜線制限の緩和が受けられるという条項が建築基準法に追加されました。
天空率とはある地点に半球を置いた時に、半球の中心から建物の外形ラインを結ぶことでできる半球上のシルエットの割合のことです。例えば、東京タワーの足元に立った時には圧迫感を感じるものですが、遠くから見ている分には殆ど圧迫感は感じません。それは対象物の絶対的な大きさというよりも、観察者の視点を中心とした相対的な大きさが心理的な圧迫感には大きく影響するということです。
斜線制限については、例えば敷地いっぱいに建っている建物の上部が斜線によって切られていれば、それはそれで法規に準じていますが、むしろ建物の平面をスリムにして斜線を超える建物の高さが建っていたとしても、敷地内に空地をとっていた方が環境としては快適な場合も多々あります。そういう考え方に適応できるのが、天空率という発想です。具体的な運用に付いてはとてもテクニカルで、専用のCADソフトを使って計算をしたりするのですが、天空率の導入によって都市における建物ボリュームのあり方が広がったと言えるでしょう。

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