5-1. ガラス (10)
本稿の冒頭にも書きましたが、現代社会における環境問題への関心の高まりを受けて、ガラスにも様々な配慮がされています。建築物において壁や屋根を不透明な素材で空間を仕切る場合と比較して、ガラスで内外を分断する窓は最も熱負荷がかかるものです。特に現代のオフィス空間のように開放的なガラス張りの空間を実現すると、一方で室内環境には大きなしわ寄せを与えてしまいます。そうなると、ガラス(およびサッシ)そのものの品質を改良する以外にはありません。
断熱性能を向上させるために最も用いられているものは複層ガラスで、フロートガラスを2枚用意し、スペーサーで一定の隙間を空けてそこに乾燥空気を充填しているものです。乾燥空気を断熱材としての役割を期待してのことです。また、これらのガラスの種類を変えることで、更に複合的な機能を付与することもされています。これらのガラスの1枚を熱線反射ガラスとすれば西日の直射を防ぐことが期待できますし、網入りガラスや耐熱強化ガラスなどを併せることも可能です。
このように外側からぱっと見るとただの1枚に見えるガラスも、実は場所によって、また要求されている機能によって色々な使い分けをされています。建築の意匠表現にガラスは不可欠のものですし、社会のニーズに伴って、今後も様々なガラスが考案されることでしょう。
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