3-3. ミース・ファン・デル・ローエ (1)

3. 近代以降のオフィスビル

個人的な話になりますが、筆者が20代前半にパリの建築学校に留学した時に、それに先駆けて地方の語学学校に集中講座に通いました。その都市に着いてすぐに学校への登録をするために「学校内の○○事務所に行きなさい」と指示され、向かった先は小さな個室が並んでいる事務所だった、そんな瑣末なことが印象に残っていて未だに記憶しています。本当に事務的な手続きで、決してエラい人に会いに行ったわけではなかったのですが、いわゆるヒラの事務員さんが個室があてがわれて仕事をされていました。
大したことのない話なのですが、それまでの僕は実際に会社で働いたことはなく、何となくオフィスのイメージと言えば天井高が低く、だだっ広い部屋に机が並んでいて、エラい人には役員室があてがわれているというイメージだったので、そのときは空間のイメージのギャップのせいで強い印象があったのでしょう。
恐らく、これは僕の個人的なオフィスのイメージというよりも誰もが抱いている共通のものだと思いますが、その出自を探ってみたいと思います。

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