3-1. ルイス・サリヴァン (5)
1891年にミズーリ州セントルイスに建てられたWainwright BuildingはGuaranty Buildingと並んで初期のサリヴァンを代表する作品です。こちらの方が3年早く建築されています。プランはほぼ同じ形態ですが、立面の3層構成はこのWainwright Buildingの方がより強く出ているように見えます。実はこの「3層構成」[triepartie]は非常に古典的な立面の構成でもあります。ギリシア建築の基壇、柱部、頂部(軒蛇腹+ペディメント)といったファサードを想像すれば容易に想像できるかと思います。実はサリヴァンはこの3層構成を非常に重要視していて、高層ビルを設計する際にもこのファサードの構成を外しませんでした。その介もあって、高層ビルという新しい建築のプロポーションのあり方に対して、古代以来続く建築の構成のあり方を運用することによって、上手に安定感を与えていると言えると思います。
1893年にこちらもセントルイスに建てられました。この場合は敷地は南と東に接道しています。プランニングは他の2つと殆ど変わりませんが、敷地の方位に応じて基準階は相変わらず南に凹みをつくるようにしているので、通りに凹部が面するかたちになりました。通りに面してファサードをつくる、即ち壁を建てるということが古典的な都市建築の常套手段であったとすれば、この基準階への採光を重視したプランニングは相当な冒険です。これはサリヴァンの合理主義的な側面が全面に出てきていると言えるでしょう。
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