2-4. 近代/オフィスビル (2)
これまで参照していた建築物は概ねヨーロッパにあるものでしたが、ここではアメリカに視点を変えたいと思います。
というのも、例えばフランスにおいては、19世紀中頃、ナポレオン3世の治世にパリ市長オスマンによるパリ大改造が行われ、市中の建物が大幅に更新されましたが、その建築はオスマニアンと呼ばれる様式のもので、1,2階は商業的な用途が入り、主な入口は2層分の高さに渡ります。3階以上から住居やオフィスとして利用され、ファサードには水平に連続するテラスが3階に、それ以上の階層には断片的にテラスが出ていたりします。6,7階あたりからグレーのスレートで葺いた屋根が始まりますが、そこは屋根裏部屋になっていて、当時は使用人などが居住していました。
これらは建築の用途から建築が成立しているのではなくて、相変わらず社会的階層が反映したかの様な古典的な立面の構成が取られているので、現在のオフィスビルというビルディングタイプからはほど遠いものです。オスマニアンの建物は現在でも殆ど解体されることなく利用されていますが、ある種のステイタスシンボルとなっているのでリッチな企業のオフィスか金持ちの住宅として占有されているものが殆どです。
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