2-3. 近代/ビルディングタイプ (8)
世界で初めての鉄製の構造物として有名なのはイギリスのIron Bridge(アイアンブリッジ=鉄橋)で、1779年に完成しており、ユネスコの世界遺産にも登録されています。錬鉄が製造できるようになったために、より大きな構築物に鉄が使われるようになったのです。
現在では鉄骨造というのは、木造やRC造と並んで一般的な建築の構造体ですが、産業革命当時は建築物の構造体としては認められず、もっぱらこの様な土木構造物に利用されていました。さきにリヨン駅(1849年)の例を出しましたが、駅のメインの機能となる線路やホームといった部分は、大空間をつくる必要もあったので鉄の構造体が活用されて屋根を支えています。一方で街からの見える部分はあくまでも旧来の建築の様式を踏襲することで、(いわゆる)美観を保つと考えたのでしょう。このように新たな用途に対応するために鉄を利用した空間をつくる一方で、旧来の石造のファサードをつくるための建物を、場所を明確に分けてつくるという構成が駅のビルディングタイプとなったと考えられます。事実、その後の欧州の終着駅の建築の設計を見ていると、殆どが同様の構成でつくられています。
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