2-2. オフィスのルーツ・西洋編 (3)

そこで家具としての[bureau]を少し考察してみたいと思います。
ラテン語源[burellum]という言葉は、中世に古いフランス語の[burel]や[bure]という言葉に転じたようです。そして現在も使われている[bureau]に変遷します。
その時代の実際の事務机は残ってはいませんが、少し下った15世紀後半の絵に描かれています。

図2-2-1:bureau ancien

図2-2-1:bureau ancien

描かれているのはJean Miélotという人で、現在のベルギー、当時はブルゴーニュ公国領で主に翻訳家として活動しました。当時は未だ印刷技術が発明されていませんので、本といえば[manuscript]と呼ばれる手書きのもので、テクストと共に多くの絵や装飾が描かれ、本自体も大変貴重な物として扱われて、彫金などで装飾されていました。

図2-2-2:manuscript

図2-2-2:manuscript

このような本を製作するための机[bureau]ということを前提にして考えると、Jean Miélotが向かっている机の形態が よく理解できます。現在の水平な面がある机ではなくて、その上に書くための面としての台が斜めに傾くように据え付け られています。その斜め面にはいくつかの穴が空いてあり、ペンを差したりインクを入れたりす るのでしょう。ただ文字を書くだけならば現在のような水平面のある机で良いのでしょうが、絵を描くようなものなの でイーゼルに近いつくりになっていたのでしょう。

最新記事40件を表示