2-2. オフィスのルーツ・西洋編 (2)

ローマ帝国では4世紀前半にキリスト教が許容され、後半には国教化されましたが、そこでも[office]という言葉が見 受けられます。現在の日本語で「聖務日課」と呼ばれるもので、ラテン語で[Liturgia Horarium]または[Officium Divinum] と書かれます。依然として[office]は場所ではなく「事務」といった意味です。また、[divinum](divine)は「神から授 かった、神権の」という意味なので、[Office Divinum]はまさに「聖務日課」と訳せる言葉です。先の記事で「事務」 という言葉と仏教の関係を指摘しましたが、[office]とキリスト教にも近い関連性が見てとれるのは、興味深い事実で す。

さて英語では[office]という言葉は一般的ですが、もう1つ、[bureau]という言い方があります。[office]よりも公的 な機関を指す言葉として現在は使われています。音が随分違いますがこちらもラテン語源で[burellum]が転じて [bureau]となった様です。フランス語においては[bureau]という言葉がまさに事務所をさす言葉としてあり、[office] という言葉はフランス語の語彙にはありません。フランス語において興味深いのは[bureau]という言葉が「事務所」と 共に「事務机」をさす言葉として使われているところです。つまり言葉の変遷として、「地位」や「仕事」を指す言葉か ら意味が転じて「場所」や「家具」を指す言葉になったということが考えられます。

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