1-1. 都心/オフィスビル (4)

場所を変えてみると、この状況と似たような光景が東京郊外の住宅地に見られます。もちろんオフィスビルと戸建て住宅というビルディングタイプ、規模などの違いはありますが、前述したようなあるエリアに集中して同程度の規模の建物が繰り返されている点は共通していて、言い方を変えれば両者共に「シムシティ」的です。そういう意味で、都心(業務地区)/オフィスビルの関係と郊外(住宅地)/住宅の関係はある程度、相似的であると思います。
ところが建築家(←この言葉についてはいずれ紙面を変えて書きたいと思っています。)や社会学者による郊外の住宅地に関する仕事(建築物、論評など)は多くみられる一方で、都心のオフィス街についての仕事は巡り会うことが少ないように思います。建築家がオリジナリティ溢れるアイディアをもって住宅を設計し、郊外の住宅地の在り方に再考を促すような作品はこれまでにも幾つもあります。少し前になりますが、東浩樹氏と北田暁大氏の「東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム」(NHKブックス)という本では、東京郊外の住宅地が様々な切り口で解釈され、非常に興味深い内容でした。

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