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オフィスビル徒然 (2)
ここで書くまでもないかもしれませんが、「シムシティ」とはビデオゲームで、自らが市長となって街をつくっていくというシュミレーションゲームです。現在ではいくつもシリーズが出て複雑化しているようですが、私が遊んでいた当時は20年くらい前ですのでとてもシンプルで、建てられる一般的な建物は主に「住宅地」「商業地」「工業地」という3種類に分かれていました。都市が発展していくということは、即ち各々のエリアの建物が巨大化していくということでした。例えば住宅地であれば、戸建ての住宅街であったものが、高層マンションに変化していくというように。(その他、特殊な建築物として、警察署や消防署、スタジアムなどがありました。)ゲームをうまく進める戦略は、シンプルなグリッド状の街区に上述の3つのエリアをきちんと分けて街づくりを進めていくということでした。住宅地のすぐ横に工業地があると、公害で住民が悩まされてしまうでしょう、という話です。
プレイしているその画面上の街は、鳥瞰的に(正確にいえば、アクソノメトリック)描かれています。聖路加タワーから見下ろした画一的なグリッド状の街区の上に並ぶキュービックな建物は、まさに「シムシティ」的光景を見ているようでした。
1-1. 都心/オフィスビル (1)
1.イントロダクション
トゥループロパティマネジメント株式会社は、中央区の聖路加タワー40階に社を構えています。都内の超高層ビル(*)は60年代以降に開発された西新宿が最たる例ですが、複数の超高層ビルは群がるように建っていることが多いので、方角によっては隣りのビルしか見えないで、意外と景色が開けていなかったりします。一方でこの聖路加タワーの周辺には同じような超高層ビルは建っていませんので、月島や晴海を背にして、下町から山の手方面にかけて景色が一望できます。空気が澄んだ冬の日や雨上がりで大気中のチリが落ちている時には、遠くにはっきりと富士山を望むことが出来ますし、東京の街を赤く染めながら夕日が沈んでゆく様はとても美しいものです。そして足元に目を移すと、碁盤目状の道路に区切られた敷地の中で、四角い建物が規則正しく並んでいます。
その光景を初めて見たとき、私は「シムシティ」を思い出しました。
(*:超高層ビルの定義は厳密に決まっているわけではありませんが、通常、15階建て以上または100m以上の建築物を指します。)
オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え③
前コラムでご紹介したご紹介した物件評価書は、当社が独自に作っている評価書の簡易版になります。このコラムで、簡単な各項目の説明をいたしますので、是非自分のビルや建築予定のビルを評価してみて下さい。
1.立地
駅から徒歩○分という点が決定的なポイントであると考えているビルオーナーが多くいらっしゃいますが、都心のオフィスビルは大抵駅から徒歩5分圏内にありますから、駅から近いという点だけでは決定的な要素にはなりません。
実際にはオフィスビルへの動線上の全てが評価対象になります。次のポイントを検討した上で、総合的に評価しましょう。
- ①エリア
- 千代田区、港区、中央区の都心3区はニーズが高くプラス評価。次が、渋谷、新宿、品川、池袋周辺、これに続くのが台東、文京となります。
- ②沿線
- オフィス向けには古くて、すでに仕上がっている街が好まれます。山手線沿線はプラス評価。地下鉄で言えば銀座線、日比谷線、丸ノ内線に都営浅草線の順で評価されます。歴史が浅く乗降客数の少ない駅では距離が近くてもプラス評価にはし難いと思われます。
- ③駅からビルまでの間
- 駅からビルまでの間にごみごみした路地や風俗、消費者金融などがあればマイナス評価となります。また、駅とオフィスとの間に数車線もあるような広い道路がある場合には、敬遠されることもありマイナス評価となります。
- ④幹線道路との関係
- テナントの業種や道路の幅、交通量によっても異なりますが、一般的には奥まった静かな環境よりも、幹線道路に近い立地をプラス評価するテナントがやや多いように思えます。
- ⑤建物の周辺
- 公園がある、並木の緑が見える、眺望が良いなどの場合にはプラス評価。飲食店などが入った雑居ビルや古い木造住宅が密集している、墓地が丸見えになっているような場合にはマイナス評価となります。
オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え②
STEP2.物件評価書で自分のビルを評価してみる
ステップ1を実践し、オフィスビルの客観的な価値を大体把握できたら、次は己を知る、すなわち自分のビルの客観的価値を評価します。これからビルを建築される場合には、建築する予定であるビルを評価してみるとよいでしょう。この作業をすることによって、自分のビルや建築予定のビルが抱える問題点や強みを認識することができます。
以下で、当社が独自に行っている企業がビルを選ぶ際に重視する項目と点数基準を公開いたします。
項目 | 点数 | 点数基準 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
優れる | やや 優れる |
普通 | やや 劣る |
劣る | ||
立地 | 点 | 15 | 12 | 8 | 4 | 1 |
外観 | 点 | 15 | 12 | 8 | 4 | 1 |
エントランス | 点 | 15 | 12 | 8 | 4 | 1 |
共用部分 | 点 | 15 | 12 | 8 | 4 | 1 |
セキュリティ | 点 | 15 | 12 | 8 | 4 | 1 |
調整 | 点 | 15 | 12 | 8 | 4 | 1 | 総合点 | 点 |
オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え①
己を知り、敵を知る
前コラムでビルオーナー様は経営者であると述べました。オフィスビルは建てただけではお金を生み出してくれません。オフィスビル経営の成否を決めるのは、利益の最大化のために努力する経営者としての意識の高さです。オフィスビルについて誰よりも知っているというところまで勉強する必要があります。
オフィスビルの全てを知ることはそう容易なことではありませんので、まずは自分のビル(己)について知り、競合相手のビル(敵)を知り、成功に至るまでの課題を知るところから始めましょう。次の3ステップを実践されることをお勧めいたします。
STEP1.様々なビルを数多く見て、それに対して自分なりの見解を持つ
最初にして、最も大事なステップが、数多くのビルを見て自分なりの見解を持つことです。オフィスビルという商品を使って事業を営む以上、商品であるオフィスビルの価値を客観的に把握できるようになることが重要になります。
オフィスビルの評価というと専門家でなければわからないように思えますが、決してそのようなことはありません。100棟のオフィスビルを見れば、それぞれのビルの良し悪しはわかってきます。
もちろん、ただ漫然と見るのではなく、自身がテナントとして高いお金を払って入居する先を探す気構えで真剣に見ていくことが必要です。また、自分のビルと同規模の大手貸ビル専門会社のビルを見ることも大切です。大手が経営するオフィスビルには、長年のリサーチ結果を反映させた工夫の積み重ねがあり、テナントがオフィスビルに求めるものを知るためには大変参考になるからです。
毎日20棟、平日5日で最も重要なステップを完了でき、これによってビル経営に関する非常に多くのことを学べるのですが、この大切なステップを多くのビルオーナー様が飛ばします。ビル経営に最終的に責任を持つのですから、わずか5日の労力を惜しむべきではありません。
また、この評価は個人の主観的なものであってはいけません。オフィスビルはテナントに入居してもらって初めて利益を生みますから、テナントが求めるデザイン、形、機能を有していることが大切です。この客観的視点を持てるようになるまで、数多くのオフィスビルを見てまわることが必要になるのです。