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オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え③

前コラムでご紹介したご紹介した物件評価書は、当社が独自に作っている評価書の簡易版になります。このコラムで、簡単な各項目の説明をいたしますので、是非自分のビルや建築予定のビルを評価してみて下さい。

1.立地

駅から徒歩○分という点が決定的なポイントであると考えているビルオーナーが多くいらっしゃいますが、都心のオフィスビルは大抵駅から徒歩5分圏内にありますから、駅から近いという点だけでは決定的な要素にはなりません。
実際にはオフィスビルへの動線上の全てが評価対象になります。次のポイントを検討した上で、総合的に評価しましょう。

①エリア
千代田区、港区、中央区の都心3区はニーズが高くプラス評価。次が、渋谷、新宿、品川、池袋周辺、これに続くのが台東、文京となります。
②沿線
オフィス向けには古くて、すでに仕上がっている街が好まれます。山手線沿線はプラス評価。地下鉄で言えば銀座線、日比谷線、丸ノ内線に都営浅草線の順で評価されます。歴史が浅く乗降客数の少ない駅では距離が近くてもプラス評価にはし難いと思われます。
③駅からビルまでの間
駅からビルまでの間にごみごみした路地や風俗、消費者金融などがあればマイナス評価となります。また、駅とオフィスとの間に数車線もあるような広い道路がある場合には、敬遠されることもありマイナス評価となります。
④幹線道路との関係
テナントの業種や道路の幅、交通量によっても異なりますが、一般的には奥まった静かな環境よりも、幹線道路に近い立地をプラス評価するテナントがやや多いように思えます。
⑤建物の周辺
公園がある、並木の緑が見える、眺望が良いなどの場合にはプラス評価。飲食店などが入った雑居ビルや古い木造住宅が密集している、墓地が丸見えになっているような場合にはマイナス評価となります。

オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え②

STEP2.物件評価書で自分のビルを評価してみる

ステップ1を実践し、オフィスビルの客観的な価値を大体把握できたら、次は己を知る、すなわち自分のビルの客観的価値を評価します。これからビルを建築される場合には、建築する予定であるビルを評価してみるとよいでしょう。この作業をすることによって、自分のビルや建築予定のビルが抱える問題点や強みを認識することができます。
以下で、当社が独自に行っている企業がビルを選ぶ際に重視する項目と点数基準を公開いたします。

項目 点数 点数基準
優れる やや
優れる
普通 やや
劣る
劣る
立地 15 12
外観 15 12
エントランス 15 12
共用部分 15 12
セキュリティ 15 12
調整 15 12
総合点

オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え①

己を知り、敵を知る

前コラムでビルオーナー様は経営者であると述べました。オフィスビルは建てただけではお金を生み出してくれません。オフィスビル経営の成否を決めるのは、利益の最大化のために努力する経営者としての意識の高さです。オフィスビルについて誰よりも知っているというところまで勉強する必要があります。
オフィスビルの全てを知ることはそう容易なことではありませんので、まずは自分のビル(己)について知り、競合相手のビル(敵)を知り、成功に至るまでの課題を知るところから始めましょう。次の3ステップを実践されることをお勧めいたします。

STEP1.様々なビルを数多く見て、それに対して自分なりの見解を持つ

最初にして、最も大事なステップが、数多くのビルを見て自分なりの見解を持つことです。オフィスビルという商品を使って事業を営む以上、商品であるオフィスビルの価値を客観的に把握できるようになることが重要になります。
オフィスビルの評価というと専門家でなければわからないように思えますが、決してそのようなことはありません。100棟のオフィスビルを見れば、それぞれのビルの良し悪しはわかってきます。
もちろん、ただ漫然と見るのではなく、自身がテナントとして高いお金を払って入居する先を探す気構えで真剣に見ていくことが必要です。また、自分のビルと同規模の大手貸ビル専門会社のビルを見ることも大切です。大手が経営するオフィスビルには、長年のリサーチ結果を反映させた工夫の積み重ねがあり、テナントがオフィスビルに求めるものを知るためには大変参考になるからです。
毎日20棟、平日5日で最も重要なステップを完了でき、これによってビル経営に関する非常に多くのことを学べるのですが、この大切なステップを多くのビルオーナー様が飛ばします。ビル経営に最終的に責任を持つのですから、わずか5日の労力を惜しむべきではありません。
また、この評価は個人の主観的なものであってはいけません。オフィスビルはテナントに入居してもらって初めて利益を生みますから、テナントが求めるデザイン、形、機能を有していることが大切です。この客観的視点を持てるようになるまで、数多くのオフィスビルを見てまわることが必要になるのです。

オフィスビル経営の基本Ⅰ ビルオーナーは経営者

オフィスビル経営者としての自覚が重要

オフィスビル経営を成功させるために必要なことはいくつかありますが、最初に押さえておかなければならないこととして、オーナー様が「オフィスビルの経営者であることを自覚する」ことがあげられます。

空室に悩むオーナー様からご相談を受けると、オーナー様ご自身が経営者であることをあまり意識されていない場合があります。オフィスビルは「財産」であって、どんなビルであっても建築・購入してしまえば自動的に利益を生み続ける、という誤解をお持ちの場合などです。

確かに、首都圏でのオフィスビルは、中小企業の執務空間として長期にわたってニーズがあり続けますから、投資の対象として適切であることは間違いありません。

しかしながら、多くの競合相手が存在し、かつオフィスとして要求されるビルの仕様自体がある程度共通していることから、競合物件との格差をつけることは難しいのも事実です。
オフィスビル経営は、同一地域、同一規模のオフィスビルに競争で勝つものでなければ成功しません。1番であるオフィスビルだけが、テナント様に選ばれ、競争に勝ち残ることができます。1番のオフィスビルを建築し、あるいは1番のビルにリニューアルし、1番の運営をし続けることが必要なのです。
景気が悪い時期でも満室のオフィスビルは確実に存在します。他のオフィスビル経営者が自覚を持って空室対策をしているのに、空室が出ても思わしくない景気のせいにしてしまうようでは、成功は困難であるように思われます。

まず、オーナー様ご自身が経営者であることを自覚し、成功するために必要な経営努力を継続することが重要です。
次のコラムで、オフィスビル経営者としての心構えをご紹介させていただきます。

コラムのご案内

はじめに

トゥループロパティマネジメント株式会社は、中小オフィスビルの建築設計を専門とする企業として「経営に最大限寄与できるビルを設計する」ことを理念に掲げ、数多くのオフィスビルを設計してまいりました。
中小オフィスビルの建築設計、リニューアル、サブリースの各事業を展開してきたプロの視点から、オーナー様のお悩み、ご相談にもお答えしています。

本コラムでは、ビル経営の専門家として不動産業界に携わってきた当社のノウハウを4つのテーマに整理し、お伝えしていきたいと思います。内容は下記を予定しています。成功するオフィスビル経営を目指す皆さまの羅針盤として、お役に立つことができれば幸いです。

コラム予定

第一章 オフィスビル経営の基本
・ビルオーナーは経営者
・経営者としての心構え
・経営者個人の限界と専門家の必要性

第二章 初めに選ばれる建築設計
・建築設計業務の内容
・初めに選ばれる建築設計概論
・具体例

第三章 満室になるリニューアル
・満室になるリニューアルとは
・実例

第四章 どんなビルでもサブリース
・サブリースの定義
・ビル経営のコンサルタント
・サブリースのメリットと注意点