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6-1. 机 (1)

6. オフィスの設え

「2.オフィスの歴史」の稿でも触れましたが、フランス語でいう[bureau](ビュロー)という言葉は「オフィス」と「オフィスの机」という2つの意味があります。ある部屋をオフィス空間足らしめる要素として「机」というものは欠かせないものです。
オフィスビルといった時に、一般的にはそこにあるのはがらんとした一室空間あるのみで(これについては3-3.ミース・ファン・デル・ローエの稿の「ユニバーサル・スペース」参照)、使い様によっては住宅としても使えなくもないものです。そこにテナントが引っ越してきて、オフィスとしての「設え」を施すことによって、初めてオフィスらしくなるものです。
本章ではこのようにオフィスをオフィス空間足らしめる「設え」について考察していきます。まずは「机」についてです。今回もまずは歴史的な視点から「机」を掘り下げていこうかと思います。既に「2.オフィスの歴史」にてルイ13様式あたりまで簡単に書いていますが、もう少し詳察してみます。

5-1. ガラス (10)

本稿の冒頭にも書きましたが、現代社会における環境問題への関心の高まりを受けて、ガラスにも様々な配慮がされています。建築物において壁や屋根を不透明な素材で空間を仕切る場合と比較して、ガラスで内外を分断する窓は最も熱負荷がかかるものです。特に現代のオフィス空間のように開放的なガラス張りの空間を実現すると、一方で室内環境には大きなしわ寄せを与えてしまいます。そうなると、ガラス(およびサッシ)そのものの品質を改良する以外にはありません。
断熱性能を向上させるために最も用いられているものは複層ガラスで、フロートガラスを2枚用意し、スペーサーで一定の隙間を空けてそこに乾燥空気を充填しているものです。乾燥空気を断熱材としての役割を期待してのことです。また、これらのガラスの種類を変えることで、更に複合的な機能を付与することもされています。これらのガラスの1枚を熱線反射ガラスとすれば西日の直射を防ぐことが期待できますし、網入りガラスや耐熱強化ガラスなどを併せることも可能です。
このように外側からぱっと見るとただの1枚に見えるガラスも、実は場所によって、また要求されている機能によって色々な使い分けをされています。建築の意匠表現にガラスは不可欠のものですし、社会のニーズに伴って、今後も様々なガラスが考案されることでしょう。

5-1. ガラス (9)

熱によるガラスの破壊を防ぐには、熱膨張を抑えるか熱伝導を良くするかということになりますが、ガラスの性質上、熱伝導を上げることは不可能なようです。一方で熱膨張を抑えることは、結晶化ガラスというものをガラス内に分散させることによって可能とのことです。ガラスは非晶質であるということを書きましたが、水が0℃〜4℃までは熱で膨張せずに収縮する(つまり水の体積は4℃が一番小さい)、といったことに近い物性をもった結晶化したガラスを混ぜることで耐熱性能を備えたガラスを実現しているとのことです。建物の延焼の恐れのある範囲にある開口部は火災時に火が廻るのを防ぐために「防火設備」とすること、という規定があるのですが、透明な開口部でその防火設備として求められる性能を満たすものがこの耐熱強化ガラスです。
同様な目的で網入りガラスが用いられることもあります。網入りガラスの場合、火災時にガラスは割れてしまうのですが、内包された金網によってガラスが金網から剥離しないので、火が廻るのを防ぐ役割を満たせるというわけです。

5-1. ガラス (8)

コップなども含めてガラスの大きな特徴は「割れる」ということです。「割れる」ということは、硬くて粘りがない物質が一瞬にその結びつきを失うということですが、その原因は外から強い衝撃を受けるか、急激に温度変化するかのどちらかです。日常生活の中でガラスが割れるといえば前者だと思います(グラスを落としたり)。後者は例えば、冷凍庫にグラスを入れておいて、熱湯を注いで割れるということです。物質は熱によって膨張収縮しますが、ガラスの場合、急に熱が加わった時に表面は膨張するけれども、それ以外の場所に熱がすぐに伝わらなくてそのままになってしますので、そのひずみで割れてしまうということです。これが建築物の場合、火災時にはガラスに急激に熱が加わることになりますので、熱膨張によって普通のガラスでは破壊されてしまいますが、火を廻らない様にする、あるいは割れて人に危害を加えない様にするためにも、熱に耐えられるガラスが場所によっては求められます。

5-1. ガラス (7)

基本的な製法はフロートガラスと同じですが、熱処理を加えて急冷することでガラスの表面に張力をかけて強化したガラスを強化ガラスと呼びます。フロートガラスの3〜4倍の強度が得られます。このガラスの場合、割れた時には普通のガラスの様に尖った危険な破片となるのではなくて、表面に張力がかかっているので細かいガラスの粒となります。つまりガラス自体が強化されていることに加えて破壊時の安全性も高いので、自動ドアや建物の地上階部分などに使用され、万が一、人がぶつかって割れたとしてもフロートガラスと比べて怪我のリスクが減らせます。併せてフィルムなどを貼ることによって、破壊時に粒が人に降ってこない様な工夫も一般的になされます。但し逆にいえば粉々になってしまうので、防犯性能という意味では劣ります。
防犯性能を期待する部位については、合わせガラスを利用します。これは1枚の板を複数枚のガラスを合わせて、間にフィルムを挟むことでつくられます。そのフィルムが破り難いので防犯性能が高いというものです。