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4-3. トイレ (1)

4. オフィスビルの部分

この章では自動ドアやエレベーターについて書いてきましたが、これらは必ずしもオフィスビルに不可欠という部分ではありません。オフィスビル、あるいは建築物一般と言ってもいいかもしれませんが、エアコンがなくても、キッチンがなくてもオフィスビルとして成立すると言うことも可能でしょうが、しかしながらトイレはどうしても必要不可欠な場所です。
(※以下、本トピックはあまり美しくない内容も書くことがあるかと思いますので、お昼休みにお食事中の方は続きを読むことを控えた方が良いかも知れません。)

言葉の上では「便所」というのは行為を直接的に表現した言い回しですが、その他、日本語では「お手洗い」「厠」「ご不浄」「はばかり」「手水」など色々な婉曲表現でその場所を示しています。今ではちょっと古めかしい「厠」という表現は、語源辞典によれば712年の『古事記』にも見られる表現だそうで、川の上にあった家屋「川屋」ということだそうです。あるいは「厠」という漢字の読んで字の如く、母屋ではなくその側にある屋「側屋」という説もあるようです。

7-2. 環境基準 (3)

これらの環境指標が目指していることは当然、環境負荷を減らしつつ如何に快適な建物の環境を得られるかということを目論んでいるわけですが、この「環境負荷を減らす」ということの意義が社会通念としてどれだけ共有されているのか、あるいは環境指標が普及することによって意義が共有されていけるのか?ということが重要です。
その点でいうとCASBEEに関していえばあまり一般には知られていないようですし、我々設計者も特にクライアントの要請がなければ積極的に認証を取ろうとしないのが多くのケースではないでしょうか。
この点、フランスにおけるHQEは中型以上のオフィスビル、集合住宅の開発に関していえば、認証を受けていることが当たり前となってきており、認証がないことでの不動産価値にも影響するようになっています。また現在は、HQEの指標から簡略化してよりシンプルに建物のエネルギー消費のみを評価するBBC(Batimemt Basse Consomation)という指標もあり、戸建ての住宅など小規模の建築物にも適用し易い様な枠組み作りが工夫されています。今は設計者がBBCの枠組みで設計するのは極めて常識的なこととなっています。
また不動産の売買、賃貸におけるその物件の平方メートルあたりの年間の消費エネルギーを表示することは法律で義務づけられており、結果としてそれが不動産価値に反映するという仕組みも出来ています。
このような外国の例を鑑みると、CASBEEの場合、設定された環境指標がいかに社会に受け入れられるのかということを戦略的に検討する必要があるようにも思えます。

オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え⑨

3.競合物件の情報を収集する

競合物件を選定したら、次はそれらの物件の情報を集めます。自分のビルの正しい立ち位置を把握するためにも可能な限り、詳しく正確な情報を集める必要があります。ビルの情報収集には以下の3種類があります。

①自分で歩いて収集する
自分のビルの最寄り駅周辺など、近いエリアは歩いて探すことが可能です。「テナント募集」の表示は、たいていの場合、問い合わせ先や物件概要などが記載されています。それらをもとに詳細な情報を入手していきます。また、不動産会社店頭の広告からテナント募集中のビル情報をチェックする方法もあります。チラシかあれば、そこから細かい情報も入手できます。ちなみに、自ビル周辺エリアのビル情報は、空室がない時期でも把握しておきたいものです。競合しそうなビルの新築や、空室が増加している現象など、周囲の状況を知っておくことは、不測の事態に備えるためにも必要です。
②ホームページで収集する
貸しビルを扱っている不動産会社のホームページから情報収集します。地域、広さ、賃料などで絞り込み検索をして、該当する競合ビルを抽出します。さらに、立地や賃貸条件、設備など個々の物件の詳細情報をチェックします。不動産会社によって内容は様々ですが、図面など詳しい情報を掲出しているケースもありますので、多いに活用したいものです。
③貸しビル専門の仲介業者から情報をもらう
一番効率的で信用のできる情報収集がこの方法です。一般に開示されている情報以外にも、専門的な立場で知り得る情報が入手可能なルートと言えます。ただし、日頃からこのような会社との付き合いがないと情報収集は難しく、すべてのオーナーが利用できるわけではありません。

以上の方法で情報収集をしたら、次は実際に競合となるビルを絞り込んでいきます。次回で具体的に説明します。

オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え⑧

2.具体的な競合物件を選ぶ基準

満室になるレベルを把握したら、次は具体的に自分のビルと競合する他物件の調査です。とはいえ、首都圏には数え切れないほどのオフィスビルがあり、これを「自分のビルと同規模」という切り口だけで分類するのでは、見て回るのに何年もかかることになります。
そこで、まずは競合する物件を選ぶ必要があります。以下、競合物件を選定する基準をご説明いたします。

①地域
企業がオフィスを探す場合のエリアは意外と流動的で、都心エリア全域が競合になり得ますが比較のためにはある程度絞りこむ必要があります。自ビルの最寄り駅と同じ沿線の2~3駅。複数路線の利用が可能であれば当然、それらの周辺駅も含まれます。3キロ~5キロ圏くらいが目安でしょう。
②面積
仮に自ビルの基準階が50坪として、50坪のビルだけが競合とは限りません。企業が50坪のビルを探しているケースでも背景は様々で、必ずしもジャスト50坪という意味ではありません。自ビルを基準に上下に幅をもたせた範囲で選びましょう。
③築年数
ビルの劣化の度合いは、管理、メンテナンス、修繕工事の程度により差が出るので、実際の数字だけではわかりません。そのため面積同様、幅をもって選ぶ必要があります。自ビルが築10年としたら、築5年~築20年程度でしょうか。自ビルのメンテナンスに自信があれば、もう少し築浅のビルを加えてもいいでしょう。
④グレード
ビルの共用部分、設備などのグレードです。自ビルのレベルを10として多少低めの7~8から15くらいが範囲内ですが同じレベルか、それ以上のレベルのビルを対象にするのが理想です。これはビル経営にとってテナント審査にも通じる重要な意味があります。レベルの高いビルを競合とすることで、自分のビルにも優良企業に入居してもらうための努力をします。芳しくない企業の入居という事態を招かないためにも、グレードによる選定をしっかりしましょう。

オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え⑦

STEP3.市場調査

ステップ2にて自分のビルの価値を客観的に評価し終えたら、次は、自分のビルが実際の市場でどのような位置にあるのかを分析するための市場調査を行いましょう。

1.満室になるレベルを把握する

市場調査で最も大切なことは、テナントのニーズを把握することです。オフィスビルの場合、どのようなビルであれば満室になるのか、を知っておく必要があります。

ここでポイントになるのは、市場調査と称してレベルの低いビルだけを調査しても百害あって一利も無いということです。
テナントさんはオフィスビルを決めるとき、多くの候補を実際に見に行きます。そして選ばれるのはそのなかで1番のビルだけです。駄目なビルの基準に合わせていてはいつまでも満室にはなりません。

そこで、景況に関係なく、一定の成績を収めていることが多い大手4社のビルで、自分のビルと規模が同程度のビルを基準にして、満室になるオフィスビルの基準をまず把握しておきましょう。大手4社とは、三井不動産、三菱地所、住友不動産、森ビルを指します。
これら大手不動産会社には長年にわたる実績に裏打ちされたノウハウの積み重ねがあります。中小オフィスビルの場合ですと、過去10年~20年の間に造られたビルで、10~20階、1フロア300坪以下の中高層ビルを規模の小さいものから10棟ほど、先ほどの物件調査書に結果を埋めながら見て歩きましょう。
これにより、たとえ自分のビルの近くに優れたビルが無かった場合でも、レベルの低いビルでよいと勘違いをする心配はなくなります。