新着情報
6-2. 椅子 (1)
6. オフィスの設え
あけましておめでとうございます。本年の連載も引き続きよろしくお引き立て頂ければと思います。
2014年、1回目のトピックは「オフィスビルの設え」として「椅子」をテーマにします。6−1では机について考察しましたが、オフィス内ではそのセットとなる椅子についてです。今回もまずはオフィスという枠を外して、椅子そのものの歴史から見ていきたいと思います。
日本では長らく床座の文化であったことから、椅子の歴史はあまり長くないようですし、椅子が存在はしていたものの、あまり普及はしていなかったようです。現在でも時代劇などを見ていると出てくる、床几(しょうぎ)が折り畳み可能な携帯用の椅子として利用されていたようです。これは古墳時代の出土品からも発掘されているとのことです。
また面白いエピソードがあります。19世紀の半ば、ロシア使節プチャーチンの秘書として日本を訪れたゴンチャロフがその著書『日本渡航記』に記したところによれば、ロシアと日本政府の要人が会談する際にまず床座にするか椅子座にするかが話し合われた。そして、ロシア人が畳の上に5分と座れなかったのと同様に、日本人が椅子の上に5分と座れなかったとのことです。姿勢というものは面白いもので、その人の日常が否応なく表れるシーンだということですね。
4-3. トイレ (15)
言うまでもなく、日本ではトイレを和式と洋式と呼ぶように、日本に元々在った便器の形式は床に便器があってしゃがみ込んで使用するものでした。このような形式は日本だけでなく、アジア、中近東、アフリカにも見られる形式です。そもそも何もないところで(例えば、野外で)用を足すとすれば、しゃがみ込む仕方が人間の姿勢として最も自然なのでしょう。ただし便器の形は様々でどちらが前か後ろか分からないものも多く、間違えてしまうと便器の外に落としてしまうこともあったりします。個室の扉に入って、扉を背にするか、扉に向かって座るかという違いもありますし、ホースが付いていてウォシュレットのように水でお尻を洗うといったトイレ、また水を流すのもタンクがあってスイッチがあるのではなくて、自分でバケツに水を汲んで流すといったものなど、場所によってほんとうに多様です。
世界のどこであっても人がいるところには欠かせないトイレは。このように時間的、地理的な多様性があり、洋式便所のグローバル化の一方で、人の生理的な営みの一部ということもありローカルな特色も依然として生き続けています。特に日本の場合は、洋式便器を受け入れる一方でウォシュレットという日本独自のシステムを組み込みました。その様な欧米文化に対する姿勢が、これまた日本的であると言える面白い事例だと言えるでしょう。
オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え⑪
STEP4.市場分析
市場調査は手段であって目的ではありません。競合の調査を終えた後、自分のビルも含めた比較・分析に進みます。
1.募集条件比較表で比較する
これまで調査し絞り込んだ競合ビルと、自分のビルを比較するために、「募集条件比較表」を作成します。
この「募集条件比較表」は当社が実際に使っているものです。
このサイトを訪問した皆さんが、実際に利用できるよう、PDF、エクセルも用意しました。まずはダウンロードをして「募集条件比較表」の全体、項目を確認してください。
募集条件比較表
ダウンロードはこちらから
オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え⑩
4.最終的に競合となるビルを絞り込む
前コラムまでの情報収集が完了した後、真に自分のビルと競合する物件を更に絞り込みます。これまで情報収集した物件情報をもとに自分のビルと条件の近い50~60物件を選び出した後、実際に物件を見て歩き、20物件から30物件まで絞るのです。
絞り込むための基準は、オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え⑧で述べたとおりですが、この段階では、オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え③~⑥で詳解した物件評価書も使用し、真に競合するビルを見抜いていきます。
必ず自らの五感でビルの価値を判断していきましょう。車で通りすがりに見ると言う程度ではビルの本当の姿はわかりません。オフィスを探す企業の経営者の気持ちになって、最寄駅からビルまで、ビル周囲の環境、建物の周囲、外観、エントランス、エレベーターホール、エレベーター内、トイレまで隈なくチェックし、自分のビルと競合するかどうかをチェックしていきます。
こうして最終的に絞り込んだ20~30物件が、自分のビルと競合するビルになります。
4-3. トイレ (14)
フランスには建材の見本市で「BATIMAT」というイベントがあり、建築関連のあらゆる商品がそこで展示されており、今年は偶然、浴室関連商品の特集が組まれていました。日本での便器のシェアはTOTOとINAXの2社で大半が占められている一方で、欧州ではかなりの数のメーカーが様々なデザインの製品を出しています。つまり日欧の大きな違いは、日本の便器はデザインもさることながら、ウォシュレットや暖房便座などの便器特有の機能を付加することによって製品を刷新し、それが多くの人々の日常に受け入れられているのに対して、欧米では便器としての最小限の機能を充足した上で、後はデザインで製品の良し悪しを競っているという、市場環境の差が歴然としています。特殊な機能ではなくデザインで他社と差異化を計っているということは、日本に比べて多くのメーカーが参入しやすい環境です。
その「BATIMAT」にはTOTOも出展していましたが、高機能を売りにしているということもあり他社と比べると相対的に価格は高く設定されており(最高額商品で10,000ユーロ=140万円程度)、会場の中でも際立ったプレゼンテーションでした。