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7-3. 光環境 (1)
7. オフィスビルの環境
住宅などの建築物の場合、南向きに開口部があり採光が取れるということがとても重要視されていて、ある程度不動産の価格にも反映されているでしょうが、オフィスに関しては採光についてはあまり重要視されていないように思います。基本的には電灯などの人工的な照明器具によって必要な明るさが取れれば良いと考えられているのでしょうが、やはり一般的な感覚からすると自然光が取れて、外に風景が広がっている環境は(その風景にもよるでしょうが…)オフィスであろうが、住宅であろうがやはり人が居る場所として快適だとは思います。このトピックでは差し当たって、このような(個人的な私の)認識を前提としつつ、現在のオフィスにおける光環境について考えてみたいと思います。
まずは明るさを定量化する単位を見てみます。日常生活において、電球を交換する際には40W(ワット)、100Wといった、ワット数を基準に選ぶことが多いかと思います。当然ですが、ワットというのは明るさの単位ではなく消費電力量の単位であって、例えば40Wの電球の場合には、下記の式が前提となっています。
40W(ワット)= 100V(ボルト)x 0.4A(アンペア)
一般家庭用の規格電圧は100Vですので、40Wの電球だと0.4Aの電流が流れて、1時間あたり40Wの電力量を消費します、ということになります。
4-7. カーテンウォール (11)
アルミサッシが使用された例として近三ビルヂングは最初期のものですが、その後すぐに幅広くは普及しなかったようで、現在のように一般住宅にもアルミサッシが使われるようになったのは、60年代以降だったようです。それまで使われていた鉄製、あるいは木製のサッシに代わってアルミが使われるようになったわけですが、その大きな理由の1つに防水性、気密性などのサッシとしての性能が大きいように思います。
梅雨の時期や台風の時期など何かと雨が降ることが多い日本の気候において、雨漏りは常に建築物のトラブルとして悩ましいものでした。鉄のサッシはLアングルなどの規格の鋼材を組み合わせて構成するのが一般的ですし、木製のサッシは建具屋さんのお手製です。それはつまり、サッシとしての断面を考えると単純なつくりになるので、水が入り込んだときに逃がすルートが作られていなかったりします。一方でアルミサッシの場合、アルミを押し出して断面を形成するので鉄や木と比べれば格段に細かな断面を形成することができて、シールが切れて水が入ったりしても、それを外に逃がす様な工夫がサッシ内で出来るようになりました。
このようにコストも含めて性能も鉄や木以上のものを期待出来るようになったため、アルミサッシは現在では主流のサッシとなったわけです。
4-7. カーテンウォール (10)
ここ間で紹介してきた金属フレーム・ガラスカーテンウォールのフレームは全て鉄製でした。もちろん現在でも鉄製フレームのカーテンウォールはありますが、より一般的なのはアルミ製です。人類にとって鉄は鉄器時代からある付き合いの長い素材ですが、アルミニウムはそれと比べると最近の素材で、18世紀後半に発見され、19世紀に入ってから金属素材として製錬されるようになりました。効率的にアルミニウムを製錬する電気製錬法は19世紀中頃には発明されていたようですが、肝心の電気を大量に発電する技術が無かったために、大量生産体制が出来るようになったのは20世紀中頃以降のことです。

図4-7-14:近三ビルヂング
日本で採用された最初期の例は1931年に竣工した村野藤吾設計の近三ビルヂングにおいて、鋼製のサッシの一部品として組み込まれたモノがあったとのことですが、1965年のこの建物の改築時にサッシも交換されているようで、実際にどのような姿であったのかは今となっては判り兼ねます。
4-7. カーテンウォール (9)

図4-7-11:glass skyscraper

図4-7-12:シーグラムビル
これら2つのガラスのカーテンウォールの最も大きな違いは、やはりプロジェクトが実現しているものと、一方は未完であるものとの差だと考えられます。ガラス張りの建物を構想する際には建築家は皆、「ガラスのスカイスクレーパー」のように純粋なガラスの壁と床スラブによる建築物を実現したいと考えるものです。ガラスを外壁にした高層ビルの着想を得た段階のピュアなイメージを、この「ガラスのスカイスクレーパー」は見事に表現してみせていると言えるでしょう。
一方で「シーグラムビル」ではそのガラスのカーテンウォールを実際の超高層に採用する際に、当然ながら技術的な対応を迫られるわけで、元々のピュアなガラスの外壁のイメージと現実の技術との折り合いをつけて、作品として見事に昇華させた例だと思われます。つまり「シーグラムビル」においては、耐風圧にマリオンをつけたり、スラブ、梁の陰に金属パネルを採用していますが、それらは当初のピュアなイメージからすると邪魔なものです。しかし、技術的にはどうしても必要なものですから、それを逆手に取って立面のリズムをつくり、超高層ビルの大きな立面に無限に続くかの様に思わせる様な緻密なリズム感をもって、マリオンと金属パネルを割付けました。また敢えてマリオンを外側に取付けることで、縦方向のプロポーションを強調し、マリオン自体もH鋼とすることで重くなりすぎないような、見事なレトリックが駆使されています。

図4-7-13:シーグラムビルのマリオン
オフィスビル経営の基本Ⅲ 経営者個人の課題と専門家の必要性①
経営者個人の課題と専門家の必要性
1.時間的課題
ここまで経営者としての心構えについてお伝えしてきました。これらはオフィスビルを経営するのであれば最低限やっておくべき基本作業となります。たとえ専門家に依頼をする場合であっても一度はご自身でやっておくべきであることに変わりはありません。その専門家からあがってくる情報、分析結果、見解に対して経営者として判断をせねばならないからです。
とはいえ、オーナー様が上記作業を全て自分で行うには2つの点で課題があります。
1つめは、単純にオーナー様の時間の捻出が難しいことが挙げられます。日々の業務を行っているなかで上記作業を完遂するのはなかなかに大変なことです。そうであれば、有限であるオーナー様の時間は、最も重要な「100棟を自分の目で見て回る」ことにあてるべきで、募集物件比較表の情報収集のような作業は専門家に任せたほうが良い場合もあります。
2つめは、不動産市場のリアルタイム性です。オーナー様が上記作業を行うにあたって、一週間ほどの時間をまとめて用意できれば問題ありませんが、現実には日々の業務の空き時間などを利用して作業を進めるパターンが多くなることが推察されます。
不動産市場は日々変動しています。調査に時間をかければかけるほど、過去に調べた情報に不正確なものが混じってきて、それに応じて分析の精度は下がります。角度の高い分析を優先するのであれば、情報収集を専門家に任せるのも方法の一つです。