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オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え⑭

4.他物件を見ながら自分の物件の条件を考える

これだけ多面的にオフィスを分析、比較すると、自分の物件において妥当な賃料がいくらなのかはおのずから見えてきます。この賃料は条件のうちのひとつの項目としての賃料ではなく、他の条件も含めた、総合的に妥当な賃料です。
企業はオフィスを探す場合、最低限の必要な面積は動かせないものの、それ以外の条件は他の条件との兼ね合いで変更の余地があります。すなわち、企業は賃料だけを見てオフィスを決めているわけではなく、条件を総合的に見て決めているのです。それも他の競合物件との関係で相対的に変動するわけですから、正確な相場というものを把握することはそう簡単なことではありません。
募集物件比較表を作れば、競合物件の条件を全体として比較することができるようになりますので、自分の物件において妥当な賃料を算出しやすくなります。
そうして決定した賃料、募集条件であれば、納得も得られやすくテナントが決まりやすくなることはもちろんですし、賃料値下げの要望にも適切に対応できるようになります。

4-5. 天井と屋根 (2)

より実際的な天井を考えてみましょう。オフィスビルの天井の素材はその空間の音環境に配慮して、ただの石膏ボードよりも岩綿吸音板というロックウール(岩綿)をボード状に成形したものを使うことが一般的です。

図4-5-1:岩綿吸音板

図4-5-1:岩綿吸音板

石膏ボードだと平滑な面なので音を反響してしまいますが、岩綿吸音板は多孔質な素材なので音を吸収します。また、オフィスビルの内装には火災を予防するために不燃材(燃えない素材)であることが求められていますが、
岩綿は金属を精錬するときに副産物としてでるスラグを溶融して繊維にしている人造鉱物繊維なので、燃えない素材なので不燃材の認定を取っています。

図4-5-2:岩綿

図4-5-2:岩綿

岩綿という素材は石綿(アスベスト)の健康被害が社会問題になって以降、代替品として使われるようになりました。見た目も字面も似た様なものですが、石綿は天然の繊維状の鉱物を指します。歴史上の文献にも度々みられ、燃えない衣として珍重されていたこともあったようです。近年になって石綿の発がん性の問題を指摘されましたが、代替品の岩綿には当然、発がん性はないとされています。

Kビル新築工事(第2回定例会議)

事業名・工事名

Kビル新築工事

日時

2013年12月25日 / 11:00~12:30

場所

トゥループロパティマネジメント(株) 第3会議室

出席者

設計監理(建築)
トゥループロパティマネジメント(TPM) : ST、MR、MT
設計監理(構造)
K構造設計事務所 : O
施工
T社 : K(現場所長)、M(部長)、T(技術営業)

1.工程の説明

【杭工事について】

施工 K:
試験杭の立会検査は1/9または1/10にお願いします。
設計 O:
終日立会は難しいので、当日の試験杭のタイムスケジュールを教えてください。
施工 K:
解りました。後日メール致します。また、試験杭のNo,1は拡底杭ではないですが宜しいですか。
設計 O:
No,4の杭は拡底杭なので立会検査を行ないます。
施工 K:
孔壁測定はNo,1(P2)とNo,4(P1)で行ないますが宜しいですか。
設計 O:
杭径ごとで行なうということで良いです。

【鉄骨工事について】

施工 K:
0節の原寸検査の日程は1/20?24の間で調整してします。
設計 O:
原寸検査時には0節鉄骨詳細図もそろって承認としたい考えです。
設計 O:
O節鉄骨詳細図は少なくとも1/6の週には間に合わせてください。
施工 K:
解りました。また1節以降の詳細図は1/6の週には間に合わないので、0節製品検査時に1節以降の原寸検査とさせてください。
設計 O:
それは構いません。
施工 K:
製品検査は0節と1節の時に行なうことで宜しいですか。
設計 O:
基本はその2回でよいです。ただし製品に問題がある場合はその限りではありません。

【工程表、定例会議の日程について】

設計 MT:
月間工程表については3ヶ月分先まで作成し、変更があった場合は更新し提出してください。
設計 MR:
今後の定例会議は毎週水曜日、10:00~TPMにて行なうこととします。

2.承諾用書類の提出

 
杭工事施工計画書
 
鉄骨工事工場制作要領書
施工 K:
鉄骨溶接部受入検査要領書の3つについて承認を頂きました。
 
コンクリート配合報告書、鉄筋圧接部試験要領書
施工 K:
杭伏図の3つについての承認をお願いします。

3.質疑

【エレベーター図について】

施工 K:
エレベーターのメーカーを決定しました。エレベーター図が意匠図と構造図とで違いのある箇所がありますので納まりを検討しています。
設計 MR,O:
検討結果が出次第メールにて資料を送ってください。こちらでも検討します。
設計 MR:
エレベーターと鉄骨階段回りの鉄骨図については、再度エレベーターと鉄骨階段の詳細図が出来次第検討します。とりあえず0節鉄骨図のチェックバックをお渡しします。

【制震装置について】

施工 K:
制震装置の基礎については、屋上スラブ上にコンクリート基礎を造りそれに乗せる構造で宜しいでしょうか。
設計 O:
それで良いです。
設計 O:
制震装置と設備機器のレイアウトを早い段階で進めてください。
設計 MR,MT:
屋上はそれほど広くないスペースに制震装置と設備機器を配置しなくてはいけません。その上制震装置は高さに算入される建築物扱いであるという中央区の取扱いなので、建築面積の1/8を超えないように塔屋上に配置しています。そうしないと高さに参入されてしまいますので注意してください。

【石工事について】

施工 K:
大理石の見本を持って来ましたので確認お願いします。
設計 MR:
設計時に取り寄せた見本と若干色味が違うようですね。設計図記載の石材メーカーでないのはどうしてですか。
施工 K:
同等品ということで今回はこれを持ってきました。その石材メーカーとは当社は取引がありません。
設計 ST,MR:
取引があるかないかはそちらの事情です。また設計時にはよく吟味しこの石材を選定しています。
設計 ST:
設計図記載のメーカーリストの通りに提案はしてください。
設計 MR:
できれば石の決定については工場にて切断前の石を見に行き石を選定して決定といたい考えです。
施工 K:
設計時に入手した見本を預からせてください。取引のある石材屋に探させます。また工場に見に行くのは可能で調整します。

【アルミサッシについて】

施工 K:
サッシの型材サンプルを何点か持って来ましたので確認をお願いします。
設計 ST,MR:
シルバーで考えています。シルバーの艶消しもサンプルを入手してください。

【セメント成型板について】

施工 K:
セメント成形板については現在サンプルを制作してもらっています。
設計 MR:
見本はカタログの色以外の特注色も可能ですか。
施工 K:
それは可能ですが、見本にも1ヶ月くらいの時間を要しますし、本製品の納期も4ヶ月ほどかかるので時間的にはそれほど余裕がありません。
設計 MR:
分かりました。

【ガラスについて】

施工 K:
ガラスの耐風圧強度検討結果の表を作成しましたので確認ください。
設計 MR:
ガラスを厚くしている箇所はどういう理由でそうなったのでしょうか。また、消防隊進入口の部分のガラス厚さは耐熱強化ガラスの場合、5mm以下としなければいけません。
設計 MR:
ガラスを厚くしていることでサッシ溝とガラスの面クリアが確保されていない箇所があります。
施工 K:
SW1,2のガラスはPW10の型板ガラスの設計ですが、型板製品は無いようなので透明とさせてください。
設計 MR:
透明ガラスで良いです。フィルムを張るなどで対応します。
設計 MR:
1Fの自動ドア部分のガラスはメーカーでの検証でよければ薄くしても構いません。
設計 MR:
また、1Fの溝型ガラスはL社の梨地を使用してください。
 
分かりました。

【耐火被覆について】

施工 K:
1Fの柱に用いる耐火塗装磨き仕上について、磨き仕上は技量の誤差が出やすく難しいので同じメーカーから耐火シートがありますがこれに変更は出来ないでしょうか。
設計 ST,MR:
仕上がりの良さを見て決定したところもあるので基本的には耐火塗装の磨き仕上と同等の仕上にしてもらいたいが、検討はします。耐火シートについては施工した場所を見れれば確認しますので調べてください。
設計 MR:
こちらでも確認しますが、この製品の認定は適合するか大丈夫ですか。
施工 K:
再度、確認します。
施工 K:
2F以上の階に用いる柱の耐火モルタルについて、湿式で技量を要求される仕上でもあるのでできれば成型品の適合品に変更とさせて頂きたいですが如何でしょうか。
設計 MT:
今回の鋼材に適合する成型品で、耐火被覆の認定を取れている製品は調べた限りではありませんでした。その成型品の認定は取れていますか。
施工 K:
認定書を確認します。

【その他】

施工 K:
ユニットバス、キッチンなどのメーカー名が記載されているものについて、同等品で変更は可能でしょうか。
設計 ST,MR:
基本的には設計時にいろいろ吟味し決定しています。設計図通りが望ましいです。
設計 MT:
現在敷地内に引込まれているガス管の撤去を基礎の掘削時にお願いします。
設計 MT:
補足資料として、設計時の消防との協議書、電波障害の調査書類をお渡しします。
設計 MT:
電力会社との事前打合せ協議書については設備設計事務所に問い合わせます。

以上

2014.1.22 作成:MT

4-5. 天井と屋根 (1)

4. オフィスビルの部分

室を構成する部位として、床、壁、天井という言う方をしますが、抽象的なキューブとしての室を想定するときには、壁が垂直面であるのに対して、床と天井は水平面であるという水準では同一です。ただし、人が地球上に生きている限り重力からは逃れられませんので、そこで人や物の荷重を支える水平面としての床と、室の上を覆う天井面というように意味が分かれてきます。
また、建築物とは何か?と考えたときに、外と内を隔てるものだと考えることが出来ます。そもそも何も無いところに内も外も無いですが、建築物があることによってその内側と外側が自ずと出来るということです。天井という言葉を考えたときに、天井は内側の上部の水平面だというように位置づけられます。先ほど例に出した抽象的なキューブは実際には厚みがありますが、その内側が天井で外側の面は屋根となります。当然ですが、屋根は室を構成するものではなく、建物の全体のボリュームを外壁とともに構成するものと考えられますが、機能的にも雨風を隔てるということで、外側に面しているということが意味を違えています。

4-4. 床 (5)

フローリングの床を使っているオフィスはあまり多くはないでしょう。私たちがオフィスビルの執務空間を設計する時には大抵、床材にはビニルタイルやタイルカーペットを選択します。理由は概ね使用上の要請からきていて、例えばOAフロアからの配線を立ち上げるのにタイルカーペットであるならば、簡単に線を取り出せること、あるいはタイルカーペットであるならばとにかく繰り返し敷き込むだけで簡単に床面を作れることであったりします。またロールのカーペットと違って、部分的に汚した時にはその部分だけ取り合えれば済んでします、というメンテナンス上のメリットもあります。但し、意匠的にはどうしても凡庸になりますし、とても見慣れた単位の繰り返しになるのであまり面白いものではありません。
ビニルタイルというのも割と同様の理由でオフィスの水廻りに使用されている素材でしょう。もちろんカーペットとは素材感は全く違いますが、主たる違いは撥水性というところだけで、目的的なポイントはきっと一緒でしょう。
ところでオフィスビルというとこれらの床材はかなり形骸化して使用されてしまっているように思います。いずれOAフロアの必要性も無くなれば、オフィス床の意匠的な自由度はきっと高まっていくことでしょう。