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8-2. 面積 (1)

8. オフィスビルの法律

オフィスビルに限らず、建築物を建てる際の最もクリティカルな制約の1つは面積であると言って良いでしょう。
本稿は知っている人は当然知っている当たり前な内容かもしれませんが、建築専門家以外の方と話したときに意外と正確に理解されていない方がいるという印象があります。
建築基準法上、基本的な面積の制約は大きく2つあります。「建築面積」と「延床面積」です。これらはm2(平方メートル)で表現される絶対的な量ですが、一方で敷地面積に対する割合で表現された「建蔽率」と「容積率」という数字もあります。絶対値で表現されるか相対値で表現されるかの差であって、制約をかけている内容は変わりません。
「建築面積」とは当該の敷地に対して何平方メートルまで敷地を覆っているかという数字で、「建蔽率」となると何パーセント敷地を覆っているかということになります。「許容建蔽率」という言葉がありますが、これは法的にその敷地に対して何パーセントまで建てられるのか?という値になります。このときに敷地を覆うというと書いたのは、要するに敷地上空から鉛直方向に敷地を見下ろした際に建物が占めている部分が「建築面積」に当たるということになります。

7-3. 光環境 (10)

これらの器具を組み合わせて室内空間を照らすわけですが、どこを狙って照明をするかということが照明器具選びとレイアウトに関わってきます。光源と作業面との関係からの位置づけで、直接作業面を照らす「直接照明」、直接作業面を照らさずに他の室内の面を照らす「間接照明」が考えられます。また室内の光の分布からの位置づけで、室内空間全てをまんべんなく照らす「全般照明」と局所的に照らす「局部照明」が考えられます。例えば、一般的なオフィス空間では、天井に取り付いた蛍光灯の「ベースライト」によって「直接照明」の「全般照明」をしておいて、各デスクの上で「スタンドライト」で「直接照明」の「局部照明」の組合せによって、オフィス空間の照明環境が調整されているかと思います。またレストランやバーなど雰囲気のある様な飲食店では、「間接照明」による「全般照明」をしておいて、各テーブルや各席の手元を「スポットライト」や「ダウンライト」、「ペンダントライト」で「直接照明」の「局部照明」を施したりすることが多いです。
このようなアイディアが室内の照明計画のベースとなっています。

7-3. 光環境 (9)

ところで建築物に使われる照明を分類するとすれば、どのような水準があるでしょうか。器具の種類はその器具が建物に対してどのように取り付けられるか、どのように照らすかというところで大きく分かれます。天井から吊るすものは「ペンダントライト」と呼ばれ、それがある程度豪華ならば「シャンデリア」と呼ばれるでしょう。ちなみにシャンデリアはそもそもロウソクが照明であった時代からあるもので、ロウソクを立てて天井から吊るものでした。壁面に付けてあるものは「ブラケット」、天井に埋め込みの「ダウンライト」、埋め込まれないものは「直付け」や「シーリングライト」と呼ばれています。またそれが蛍光灯から成る照明器具の場合ならば、「ベースライト」と呼ばれることもあります。建築物から独立して器具自体が立っているものは「スタンド」、壁や天井に取付けられて一部分を狙って照らす照明器具は「スポットライト」ですね。他にも天井や床から壁を照らすものは「ウォールウォッシャー」と呼ばれたりします。
また「提灯」や「行灯」、「灯籠」などは日本的な独特な雰囲気がありますね。

7-3. 光環境 (8)

一昔前まで私たちが日常的に使用していた電球の種類は白熱電球や蛍光灯でした。電球の寿命が3,000時間程度で、蛍光灯は2〜4倍程度の寿命があるということで、例えば住宅では滞在する時間の長い居間や台所、寝室などでは蛍光灯を使用し、トイレや水廻りには付けたり消したりする頻度が高く、その耐性がある白熱電球が使われていたものでした。それは使用上の要求からくる論理ですが、空間の質としても蛍光灯による陰のない明るい全体照明が好まれていることもあるかと思います。現在でも欧州では蛍光灯の光が居住空間に導入されることは殆どなく、業務空間で使用されています。また日本でも戦後すぐには蛍光灯が普及しておらず、小津安二郎の「東京物語(1953)」にも見られるように、電球に笠を掛けるといった形態が多かったようです。

図7-3-2:東京物語

図7-3-2:東京物語

蛍光灯が日本で発売されたのは50、60年代になってからで、家庭内に普及していったのは高度成長に伴ってのことだったのでしょうか。1969年に放送が開始された「サザエさん」では、当初からスポンサーが東芝だということもあって、ちゃぶ台の上には円環型の蛍光灯の照明がぶら下がっています。

7-3. 光環境 (7)

ところでその単位K(ケルビン)ですが、これは熱力学が前提となっています。全ての分子の運動が停止する絶対零度である摂氏約-273度を基準として、後は摂氏と同じ様な刻みで上がっていく温度の単位です。つまり摂氏36度程度である体温は310K程度になるという計算です。太陽の表面温度が5800Kなので、太陽光の色温度と概ね対応しています。
さてここで照明器具によって作られる人工的な光ですが、この色温度が電球や蛍光灯によって違うのはなんとなく知っている方が多いかと思います。いわゆる電球っぽい黄色い光は3000K程度で、段階的に概ね6500K程度までの色温度のものが設定されています。通称で、電球色(3000K)、温白色(3500K)、白色(4200K)、昼白色(5000K)、昼光色(6500K)といったところです。実際に市場では、電球色、昼白色、昼光色の3タイプが出回っています。室内でこれらの照明を灯したときには、そのスペースにかなり大きな印象の違いを作ります。電球色は暖かみのある色なので、飲食店などに多く使われます。逆に夜間でも昼のように明るい室内環境をつくりたいオフィスなどでは昼光色のランプが使われることが多いです。現在では住宅内で昼光色の蛍光灯を使っていることも多く見られますが、リラックスした雰囲気にしたい場合には電球色を使う方が良いですね。