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4-8. 階段 (12)

図4-8-14:ファンズワース邸2

図4-8-14:ファンズワース邸2

「柱と梁、それにガラスの箱の最小限の要素」という意味ではこちらの写真の方がそれを端的に表していますが、1枚目と比べるとちょっと単調すぎる気がします。ここで1枚目の写真に戻ってみると、このように解釈できないでしょうか。階段の踊り場は明らかに立面のコンポジション上、水平面の要素として与えられている、と。

図4-8-12:ファンズワース邸

図4-8-12:ファンズワース邸

また、この極端に広い踊り場がない時の階段をイメージしてみても良いですが、それは階段らしい階段、明らかなる階段としてみえてきてしまうことは想像が出来るかとおもいます。この抽象的な1枚の水平面を挿入することによって、階段もあくまでも立面を構成する水平面の要素として位置づけたい、というのが設計者の意図だったように思います。
そして全体にまた戻れば、このような水平面を挿入することで、ファサードの均整の取れた立面を少し崩して、柱梁のグリッドがどうしてももってしまう幾何学の強さを少し崩して、より部材レベルの抽象度を高めていると考えられないでしょうか。

4-8. 階段 (11)

階段の踊り場という視点で見てみると少し面白いのが下の例です。

図4-8-12:ファンズワース邸

図4-8-12:ファンズワース邸

ミース・ファン・デル・ローエによる1950年の作品で、アメリカのイリノイ州にあります。20世紀を代表する住宅建築で、柱と梁、それにガラスの箱という最小限の要素によって構成されている非常なミニマリスティックなモダニズム建築です。と、本稿の文脈がないとこのような解説で良いのですが、階段に注目してみると分かることは踊り場が極端に大きいということです。そもそも踊り場が必要ない程度の高低差ですがわざわざ踊り場をつくって、それを住宅のボリュームと同程度の床サイズに拡大しています。それに階段の幅も絶対に必要のないくらいに広くしています。

図4-8-13:ファンズワース邸プラン

図4-8-13:ファンズワース邸プラン

この点はどのように理解すれば良いでしょうか?もちろん多様な解釈が出来るかと思いますが、あまり機能的な理解はフィットしないようですし、テラスとして位置づける人もいるでしょうが、建物本体から離れていていわゆる一般的なテラスとしては使わない気もします。この点を考える上で逆側のファサードを見てみると良いかも知れません。

Kビル新築工事(第13回定例会議)

事業名・工事名

Kビル新築工事

日時

2014年4月9日 / 10:00~11:30

場所

トゥループロパティマネジメント(株) 第3会議室

出席者

設計監理(建築)
トゥループロパティマネジメント(TPM) : ST、MR、MT
設計監理(構造)
K構造設計事務所
施工
T社 : K(現場所長)、T(技術営業)、I(設備担当)
施工(電気)
H社 : F
施工(設備)
O社 : A

1.前回議事録の確認

施工 K:
外部階段部分の外壁貫通空調ダクトについては、区画貫通処理を行う方向で、施工図で検討します。

2.週間工程の説明

施工 K:
鉄骨2節の製作が遅れ気味のため、予定していた5/12,5/13の建て方を延期して5/19より行います。

3.質疑

【アルミサッシ施工図のチェック図について】

設計 MT:
AW1の縦目地については施工図の通り25mmで良いです。
設計 MT:
2Fより上の事務所内の腰パネルは、施工図の通り縦枠と横枠とで3mmチリを付けることで良いです。またボードと枠とのチリは5mmで良いです。

【屋上連結送水管、給水配管の位置について】

施工 K:
外部階段から屋上に向けて露出配管ですが、位置は10Fの外部階段から南側の外壁を横に配管してY3A通り付近で屋上に向かって縦配管ということで宜しいでしょうか。
設計 MR:
だいたいその通りで良いですが、立面図に配管を落とし込んで検討します。
施工 K:
屋上の連結送水管放水口と表示灯の位置は、ハト小屋のX12通り沿いでY2に寄った付近で宜しいでしょうか。
設計 MR:
良いです。

【給水ポンプの能力計算について】

施工 A:
現状の給水ポンプの能力水量と設計の必要数量が合わないので、別紙にある資料の通り水道局とも協議しましたが、必要水量の計算方法を床面積による計算方法とさせていただきたいですがいかがでしょうか。
設計 MR:
解りました。設備設計にも確認を取ります。

【1F管理室の電気盤などの位置について】

施工 F:
別紙の納まり図を参照ください。このような配置でいかがでしょうか。
設計 MR:
配置については、ビル管理の担当者にも確認を取ります。

【エレベーター施工図について】

設計 MR:
概ね施工図は良いです。1F三方枠の曲げRがどのくらいか確認してもらえますか。ステンレスサッシと大きく違わないよいにしたいと思います。
施工 K:
解りました。

【1Fステンレスサッシについて】

設計 MR:
24時間タイマーは不要です。自動ドアには通常の錠前は不要です。
設計 MR:
自動ドアに天井ルーバー付近で非常時進入用の開錠ボタンを取り付けてください。あとの細かい納まりについてはチェック図にて確認してください。
施工 K:
解りました。

【避難ハッチ位置について】

施工 K:
上下階で平面位置を600mm離す必要があるとメーカー資料にありますが今回離れが200mm程度ですが問題ないでしょうか。
設計 MR:
消防と設計段階で協議済ですが、水平距離で200mm以上離して設置すれば問題ないとのことです。議事録も残っていますし確認申請時に消防の同意を得ていますのでそこは問題ありません。

以上

2014.5.27 作成:MT

4-8. 階段 (10)

階段は蹴上面と踏面の垂直面と水平面の組合せから基本的には構成されていますが、安全性などを担保するために踊り場や手摺がある場合が殆どです。日本の建築基準法上は、踊り場は高さ3mごとに設けなければなりません。万が一、階段で転げ落ちた場合でも、一旦は踊り場で受け止められるということです。手摺も言わずもがな、階段の側面から転落しないように設置されます。
蹴上面と踏面は断面方向の形状で、それ以外の形は基本的には有り得ないですが平面形状で考えると、階段はいくつかのバリエーションがあります。各階の間に1つの踊り場がありそこで折り返す形の階段が一般的でしょうが、通称鉄砲階段という平面的にはストレートなものや螺旋階段などがあります。先述のフォンテーヌブローの外階段は平面的には馬蹄形をしていました。バロック建築に度々使われた馬蹄形平面の階段は、建物のファサードの正面性、対称性をつくりとても優雅な印象です。

図4-8-11:鉄砲階段

図4-8-11:鉄砲階段

オフィスビル経営の基本Ⅲ 経営者個人の課題と専門家の必要性③

このように、オーナー様の時間的課題、ノウハウ面での課題をクリアするために、専門家を利用する必要が出てきますが、次に「優れた専門家か否かをどのようにして見極めるのか」が問題となります。

優れた専門家の定義と見極め方総論

建築設計にせよ、リニューアルやサブリースにせよ、優れた専門家というのは業者のなかでも一握りの存在であるということをまず認識する必要があります。
そもそもビルオーナー様の目的は、当該ビルを経営することによって収益をあげることにあるはずです。相続税対策でビルを経営されているオーナー様もいらっしゃるでしょうが、その場合であってもビルから収益を上げなければならないことに変わりはありません。
そうであれば、「優れた専門家」の必要条件は、「その会社に仕事を依頼することによって収益が増加すること」であり、十分条件は「他の専門家よりも総収益額が高くなる」ことであると言ってよいでしょう。
ですから、優れた専門家か否かは、過去の実績情報を全てチェックし、関わったビルの経営が成功しているかどうかをチェックしていけば自ずと見えてくるということになります。もちろん、業務内容が建築設計なのか、リニューアルなのか、サブリースなのかによって具体的なチェックの仕方は変わってきますので、詳細は次回以降の各章にて解説していきます。