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4-12. 執務空間 (4)
このように大きな空間に机を並べるというのは、オープンオフィスと呼ばれるスタイルで、現在の日本のオフィスの主流と言っても良いかと思います。違うのは机を互いに付けて座って、部長や課長といった管理職ポジションの人がお誕生日席的に皆を見渡せる方向に机が向いているというのが典型だったように思います。
また低めの衝立を利用してプライバシーを高めるスタイルもあり、数名ごとに衝立てで囲うチームスペース型や一人一人で囲うキュービクル型があります。そこで扱う情報の機密性が高かったり、集中力を要する仕事の場合はこのような囲われるタイプのオフィスが良いとされています。
また欧州では比較的多いように思いますが、完全に各オフィスが個室化されているプライベートオフィス、あるいはシェアードオフィスという数人で個室を使うタイプのオフィスがあります。これは古い建物をオフィスとして利用した時に、そもそも空間が細かく個室として分かれているために、必然的にそのように使われているということがあります。日本だと個室は社長など重役クラスに与えられる特権というイメージがありますが、フランスだと比較的目の当たりにする光景だと思います。
4-12. 執務空間 (3)
このようにオフィス内にどのようなスペースが用意されるかは、働き方などによりますが、執務スペース内のデザインも同様にその会社のスタイルに依ることでしょう。
上の写真は2次大戦前のアメリカのとあるオフィスの風景ですが、大空間に一定の間隔を空けて一方向に机を向けて整列させています。机の上には何冊かの本、ランプ、席の右側にはタイプライターが置かれていて、殆どの人はペンを握って書類の作成に没頭しています。こちらの部署は資料を分別して、カタログ化する仕事をしていたそうです。
このように大空間で一方向に机を向けて、十分な間隔を開けて座るというのは近代のオフィスの一つの特徴だったように思います。以前にも別の稿で紹介した、1939年のジョンソンワックス本社も同様なスタイルが取られています。
4-12. 執務空間 (2)
以前に「オフィスのルーツ・日本編」の稿で「武士の家計簿」について言及しましたが、江戸時代の藩の御算用者、つまり今で言えば行政の経理を担う部門にあたるでしょうか、その執務空間は畳敷きの広間に書き物をする台が並んだだけのところでした。お昼となれば各自が持って来た弁当を自分の机のところで食べる程度で、その他ミーティングスペースやアメニティスペースがその広間の中に区切られて在るということは少なくとも映画の中ではみられませんでした。上位の武士が物事を決める封建制度では藩内のことを合議で決めることはなかったでしょうし、意思伝達の場もそれぞれの上役のスペースで行われていたでしょうか。そもそもミーティングスペースの必要性はなかったと考えられるでしょう。また(上述の「武士の家計簿」に描かれていた加賀藩の御算用者は別かも知れませんが)、「元禄御畳奉行の日記 尾張藩士の見た浮世」には、当時の藩に勤める武士たちは月に3日程度しか出勤していなかった勤務実態が書かれていますし、そうなると勤務しているスタッフにそれほどのアメニティも必要のないものでしょう。
それを前提に現代のオフィス空間を考えてみると執務スペース以外にも多様な場所が設定されていますが、現代の働き方のニーズに対応してこれらのスペースが位置づけられていることが分かります。当たり前のことですが、会議をする必要がある仕事の仕方なのでミーティングスペースが作られますし、スタッフが疲れるから休憩室が用意されるということです。
Kビル新築工事(第24回定例会議)
事業名・工事名
Kビル新築工事
日時
2014年7月2日 / 10:00~12:15
場所
トゥループロパティマネジメント(株) 第3会議室
出席者
- 設計監理(建築)
- トゥループロパティマネジメント(TPM) : ST、MR、MT
- 設計監理(構造)
- K構造設計事務所
- 施工
- T社 : K(現場所長)、M(部長)、I(設備担当)、T(技術営業)
- 施工(電気)
- H社 : F
- 施工(設備)
- O社 : A
- 施工(警備)
- S社 : SD、I
1.前回議事録の確認
- 設計 MR:
- 屋上機械基礎の防水は、塗布防水でO社のP工法でお願いします。
- 設計 MR:
- 電気主任技術者は、K社のH氏に決まりました。
2.週間工程の説明
3.質疑
【警備について】
- 設計 MR:
- 1Fインターホンポスト内に組込むカードリーダーについては、機器を再選定して提案してください。
- 設計 MR:
- 電気錠の制御盤はどちらの工事区分ですか。
- 施工 SD:
- 警備側で電気錠に対応した制御盤を取付けします。
- 設計 MR:
- 静脈認証の機器は当初のもので決定します。サッシ側に配線穴が必要になります。
- 設計 MR:
- 1Fの防犯カメラは、ルーバーの間に入れてボールレンズ部分がルーバー下に出てくるように施工してください。取付け用下地は建築工事でお願いします。
【郵便受けについて】
- 設計 MR:
- ダイヤル錠ではなくシリンダー錠としてください。
【バルコニー手摺について】
- 設計 MR:
- 下の横桟を無くせないか確認してください。
- 設計 MR:
- 鉄板のジョイント部が不明確なので施工図修正してください。
【1Fルーバー天井について】
- 設計 MR:
- 空調の吹出し口は、自動ドア部の点検用で開閉できる部分を避けて取付けしてください。高さはルーバー下端より上になるようにしてください。
- 設計 MR:
- 電気の照明は、ダウンライトからシーリングライトに変更とします。
- 施工 K:
- ルーバーについては、7月中旬には発注を行いたい。
【給湯室ミニキッチンについて】
- 設計 MT:
- 10Fのキッチン水栓も下の階と同様に、位置を奥側にずらしてください。
- 設計 MT:
- 天板のクリアにシーリングをすると汚れやすいので、クリアは無しでお願いします。
【ガラスについて】
- 設計 MR:
- ガラスのサッシ取り合い部のシーリングは、ブラックでお願いします。
- 設計 MR:
- 複層ガラスのキャンバーの色は何色か確認してください。
以上
2014.7.22 作成:MT
4-12. 執務空間 (1)
4. オフィスビルの部分
本章ではオフィス全体を構成する部分についてのコラムを続けてきましたが、今までは周縁の部位についての記述が中心でした。遅ればせながら、本稿ではオフィスビルの中心を成す執務空間について検討してみたいと思います。
一般的な賃貸のオフィスは水廻り、廊下、エレベーター、階段などいわゆる共用部を除いた専有部分については、なにも設えられていないガランドウの状態で賃貸されます。そこで貸借人が自らの要請に合わせて間仕切りをして、家具を入れていきます。そのためアパートなどとは違ってオフィスに入居する際には少しばかり工事があることが多いですし、反対に退去時には原状回復工事をすることもあります。
形態の差はあれど古今東西を問わず、オフィスの執務スペースの単位はデスクであり、複数のデスクが並ぶ室内風景が執務空間としては一般的だと思います。オフィスのメインはこの執務スペースです。過去にはそこに書き物をする道具が置かれていましたが、現代では概ねパソコンが乗せられていることでしょう。
また、小さなオフィスでもミーティングスペースは確保されているように思います。その他に執務をサポートするスペースとして、書類をまとめて保管するファイリングスペース(あるいはファイル用の棚)、倉庫(あるいは収納家具)やプリンターやコピー機を設置するスペースも考えられます。またそこで執務する人のための休憩室や図書スペース、本社ビルならば食堂なども有り得ます。あるいは来社したお客様を迎える待合室やショールームなどがあることもあるでしょう。