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4-13. 電気設備 (7)

先に挙げた項目別で進めるならば、続いては電話設備、LAN設備、放送設備、ITV設備、テレビ共聴設備、インターホン設備と、いわゆる通信設備の部類のものが続きます。
現在では携帯電話が普及して、個人宅における固定電話設備の重要度はかなり低くなっているといっても良いでしょうが、会社においては各人が携帯電話を持っていたとしても相変わらず固定電話の需要は変わらないと言っても良いでしょう。電話設備については敷地外からNTTの回線を引いて、それを各オフィスに分配するという感じで、電気における分電盤的な役割をする盤が必要になってきます。それを通称MDF(Main Distribute Frame)、すなわち主配線盤と呼ばれるものです。きちんとしたスチール製のボックスに入れられている場合もありますし、下図のようにベニヤ板を基盤として配線するものもあります。

図4-13-8:MDF

図4-13-8:MDF

例えば10フロアあるオフィスビルでそれぞれ10回線分の電話を引くとすると、100回線分になる訳ですが、それが物理的な大きさとしてMDFのサイズに反映されます。例えば、そのビルの1フロアにコールセンターのような大量の電話回線を使うような業種がテナントに入った時には大変です。面積あたり通常の数倍以上の回線を使うことになります。ある程度の業種の幅を見込んで、このような電話回線の数も想定するのですが、コールセンターのような業態をテナントとして受け入れるにはそれなりの設備側のスペックが必要になるということです。

4-13. 電気設備 (6)

キュービクルで変圧されて100Vないし200Vになった電気は直接送り込まれる動力でなければ、一般的には各階毎などにある分電盤に一旦送られます。

図4-13-5:分電盤

図4-13-5:分電盤

住宅でも電柱などから取り込んだ電気はまずは分電盤に接続されて、そこから配電されます。事務所ビルでも同じく一旦、分電盤で電気を受けてから、そこからコンセントや電灯など場所ごとにブレーカーを付けて配電されます。電灯・コンセント工事では分電盤以降の低圧の器具に関する工事になります。
電灯工事では一般的な照明の他に防災上、建築基準法や消防法で求められている誘導灯や停電しても電池で作動する非常用照明といった工事があります。

図4-13-6:誘導灯

図4-13-6:誘導灯

コンセント設備ではまさにコンセントを壁に設置して通線する工事ですが、昨今のオフィスビルでは事務室内は多くがOAフロアとなっていて、床下まで線を引いておいて建築の工事としてはそこで止めておきます。一般的にはその後に入るテナントの工事によって、テナント側が自らのニーズに合わせて好きな位置にコンセントを出してきたり、床にフロアコンセントを配置したりします。

図4-13-7:OAフロアコンセント

図4-13-7:OAフロアコンセント

Kビル新築工事(第27回定例会議)

事業名・工事名

Kビル新築工事

日時

2014年7月23日 / 10:00~12:00

場所

トゥループロパティマネジメント(株) 第3会議室

出席者

設計監理(建築)
トゥループロパティマネジメント(TPM) : ST、MR、MT
設計監理(構造)
K構造設計事務所
施工
T社 : K(現場所長)、I(設備担当)
施工(電気)
H社 : F
施工(設備)
O社 : A

1.前回議事録の確認

2.週間工程の説明

3.8月月間工程の説明

設計 MR:
制振装置の設置がいつ頃になるか確認してください。
設計 MR:
外部足場解体前に設計側で外壁の検査を行いますので日程を入れてください。
設計 MR:
9月の月間工程も次回定例で提出してください。
設計 MR:
申請図からの変更で軽微な変更となる項目を挙げておいてください。
施工 K:
消防の中間検査が、8/5のPM13:30に決まりました。

4.質疑

【1F天井ルーバーについて】

設計 MR:
色はN-93で決定で良いです。

【2~9Fの天井点検口について】

設計 MR:
EVホールの照明をEV入口芯に移動して、点検口は外壁側に設置してください。

【スイッチについて】

 
展開図にプロットした図を作図いたしました。事務室のスイッチ位置を確認お願いします。
設計 MR:
これで良いです。

【EVホールの天井裏VD開口について】

施工 A:
現計画ではVDをX13通りの天井裏に設けていますが、すぐ近くに梁もあるので無しとしたいがいかがでしょうか。
設計 MR:
該当部分の天井裏を全面開口としてVD無しで良いです。

【空調吹出しについて】

施工 A:
5Fの事務室でSD開口補強と当たる箇所があります。80mm外壁側にずらしても良いでしょうか。
設計 MR:
良いです。

【給湯室の給気について】

施工 A:
ルートを変更しても宜しいでしょうか。
設計 MR:
良いです。

【マスターキーについて】

施工 K:
キーシステムプランを作図しましたので確認お願いします。
設計 MR:
マスターキーについてはこれで良いです。SD-5はサムタン空錠で良いです。
施工 K:
SD-6はもともとシリンダー錠ではないのでマスターから外して南京錠としたいですがいかがでしょうか。
設計 MR:
念のため管理の者に確認します。

【キッチンについて】

施工 K:
施工図修正しました。
設計 MT:
これで良いです。。
設計 MR:
10Fの袖壁については仕上材が他の階と異なるので注意してください。

【照明器具について】

施工 F:
使用機器リストを提出します。
設計 MR:
照明器具を変更する場合、照明の色は白色で4000K程度の同等品としてください。

以上

2014.7.28 作成:MT

4-13. 電気設備 (5)

「幹線・動力設備工事」のうち、「幹線」はこれら配電のための設備を繋ぐ主な電線のことを指します。いわゆるケーブルで繋ぐのですが、屋内はケーブルラックに沿わせる形で、屋外は一般的には水の浸入を防ぐために鋼管のなかにケーブルを通す形を取ります。

図4-13-4:ケーブルラック

図4-13-4:ケーブルラック

日本の場合、一般的な電化製品を使用する際の電圧は100Vですが、機械単体で100Vの電圧では賄いきれないものもあります。容量の小さい家庭用エアコンは100Vというのもあるかもしれませんが、少し大きくなると200Vくらいの電圧は必要になってきます。ということで、2種類の電圧を使い分けているようですが、オフィスビルについては「動力」と呼んでいる部分、エレベーターや空調、給水用の増圧ポンプなどパワーが必要な機器を動かす際に200Vの電力を使っています。実際にモノを動かすような力ということで、「動力」と呼んでいるのでしょうか。
ところで日本のように家庭用電源として200Vと100Vを併用している国はどちらかと言えばマイナーな方で、大半の国々は200V〜240Vの電圧を1種類使っています。どのような経緯で併用するような面倒な形になったのでしょうか…。一説によると、電気の普及が始まった際に電球などの低電力の需要が多かったために、規格をきちんと定める前に100Vが定着してしまったとのことです。
ところで、ここまで書いておいておきながらの話ですが、筆者は電気設備の専門ではないのでここでの記述は意匠設計者としての知識の範疇に留まります。とは言え、意匠担当としてはこれら設備も含めて一つの建築物として統合するのが大きな役目ですし、デザイン上も様々な形で設備が影響してきます。そういう意味でこのような認識を門外漢が把握しているということ自体が建築物をまとめる上で重要なことになってきます。

4-13. 電気設備 (3)

先にあげた13項目の上4項目、「電力引込設備工事」「受変電設備工事」「幹線・動力設備工事」「電灯・コンセント設備工事」はそれぞれがある程度関連しており、いわゆる電気に関する工事です。入居者が目に届く範囲は「電灯・コンセント工事」ですが、電気が電線によって敷地内に引き込まれて、照明やコンセントで使えるようになるまでにはいくつかのステップがあります。
「電力引込設備工事」については、読んで字の如く敷地外から敷地内へ電気を引込む工事です。一般の家庭用電気などでは100Vや200Vといったいわゆる低電圧の電気を使用しますが、電柱間を流れる電線には高電圧の6,600Vの電気が流れています。電圧とはまさに電気の圧力のようなものですが、電線内を電気が流れる際に押し出す力と考えてよいでしょう。例えば都市に供給されるべく発電される電力は相当なものとなり、かつ離れた場所に送るので、低圧ではその電力を流す力が足りません。そこで500kV(500,000V)といったかなりの高電圧で発電所からは電力が送られてきます。そんな巨大なパワーのままでは一般に使えないので、発電所から末端のユーザーの間には何段階かの変電所が挟んで電圧を下げていきます。誰でも皆さんが目にしたことのある鉄塔(特高鉄塔架空線)には、6.6kVの高圧が流れていることが多いようです。

図4-13-1:特高鉄塔架空線

図4-13-1:特高鉄塔架空線

そこからさらに変電所で6,600Vに下げられて、地中やあるいは電柱に架けられた電線で配電していきます。ちなみに東京電力管轄内だけで変電所が1,588ヶ所もあるそうです。