オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え⑥
5.セキュリティ
セキュリティへのニーズは、どの業界においても年々高まっています。これにはふたつの面があり、ひとつは安全に業務を行うための防犯。過去には爆破、放火といった事件もあり、不審者をブロックすることはビルの基本性能といえるでしょう。もうひとつが情報流出に対するセキュリティです。IT関連企業の増加に加え、個人情報保護法など一般企業でも顧客情報管理に慎重さが求められるようになった影響があります。
- ①セキュリティの方法
- セキュリティの方法は新しいほど防犯性能が高く、テナント様も安心します。自分のビルのセキュリティがいつ導入されたものか、最新のものに比べてどれくらい古いのかを把握する必要があります。
- ②入居テナント
- 反社会的勢力や風俗店、印象の悪い飲食店などマイナスイメージのテナントが入居しているかどうか、テナント構成についても再確認しましょう。入居審査もセキュリティと無関係ではありません。不安を与えるようでは安全なオフィスビルとはいえないでしょう。
6.調整
ここまで5項目の評価をしてきました。実は、全体にバランスよく高得点というビルはそうそうあるわけではありません。どこかにどうしても、平均よりマイナスになる項目があるはずです。最後の項目「調整」は、このマイナス部分をプラスにできる要素を探る作業です。
- ①バランス確認
- まず、評価結果を五角形の図にしてみます。ここで、自分のビルの弱点を確認します。
- ②マイナスをプラスへ
- たとえ弱点の部分があっても運営の見直しやリフォームなどで、改善できるのであればプラス評価。立地のように動かし難い条件でも、それを上回る要素を作ることを考えればいいのです。テナント様がオフィスビルを選ぶ基準は好みではなく総合点です。全体のバランスがよいビルを目指して、調整の余地があるかどうかが「調整」評価のポイントになります。
さて、総合評価はいかがでしたでしょうか。以上をふまえて、次回からは、競合他社と自分のビルとの比較の作業になります。
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