オフィスビル経営の基本Ⅱ 経営者としての心構え①

己を知り、敵を知る

前コラムでビルオーナー様は経営者であると述べました。オフィスビルは建てただけではお金を生み出してくれません。オフィスビル経営の成否を決めるのは、利益の最大化のために努力する経営者としての意識の高さです。オフィスビルについて誰よりも知っているというところまで勉強する必要があります。
オフィスビルの全てを知ることはそう容易なことではありませんので、まずは自分のビル(己)について知り、競合相手のビル(敵)を知り、成功に至るまでの課題を知るところから始めましょう。次の3ステップを実践されることをお勧めいたします。

STEP1.様々なビルを数多く見て、それに対して自分なりの見解を持つ

最初にして、最も大事なステップが、数多くのビルを見て自分なりの見解を持つことです。オフィスビルという商品を使って事業を営む以上、商品であるオフィスビルの価値を客観的に把握できるようになることが重要になります。
オフィスビルの評価というと専門家でなければわからないように思えますが、決してそのようなことはありません。100棟のオフィスビルを見れば、それぞれのビルの良し悪しはわかってきます。
もちろん、ただ漫然と見るのではなく、自身がテナントとして高いお金を払って入居する先を探す気構えで真剣に見ていくことが必要です。また、自分のビルと同規模の大手貸ビル専門会社のビルを見ることも大切です。大手が経営するオフィスビルには、長年のリサーチ結果を反映させた工夫の積み重ねがあり、テナントがオフィスビルに求めるものを知るためには大変参考になるからです。
毎日20棟、平日5日で最も重要なステップを完了でき、これによってビル経営に関する非常に多くのことを学べるのですが、この大切なステップを多くのビルオーナー様が飛ばします。ビル経営に最終的に責任を持つのですから、わずか5日の労力を惜しむべきではありません。
また、この評価は個人の主観的なものであってはいけません。オフィスビルはテナントに入居してもらって初めて利益を生みますから、テナントが求めるデザイン、形、機能を有していることが大切です。この客観的視点を持てるようになるまで、数多くのオフィスビルを見てまわることが必要になるのです。

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