TPMグループの特長

1. 賃貸オフィス相場?

このエリアの相場は坪2万円という表現や日本経済新聞不動産特集の全国オフィス地区別坪単価価格帯の記事をご存知かもしれません。「相場が2万円なのでこの物件も2万円です」でなく、「この物件は1万8千円です、周辺相場が2万円なので割安です」という使い方をする不動産屋はいますが、「相場」の根拠を具体的に示すわけではありません。定期的な新聞記事のとおり、賃料相場は変化しますが、不動産鑑定士による公示地価のように社会的に認定された賃料相場はありません。不動産鑑定士が認定する賃料は相場ではなく、個別の賃料です。

賃貸不動産の現場では、実際の成約条件は「相場」と言われるような水準とは限らず、各々の物件で異なり、特にオフィスビルでは同じ物件が同じ時期に異なる条件で成約することも一般的です。また、賃貸住宅においては、階層ごとに募集単価が異なる例も見られます。「賃料相場」があるとしても、それはあくまで目安で、そのエリアの同種の物件が決まる賃料単価帯としてイメージされるものに過ぎません。「相場より高く決めた」という表現があります。競争力の高い物件が高く決まるのは当然であり、そこに不動産会社の営業力が関与する部分は多くありませんので、その場合は「相場より高く決まった」に過ぎません。競争力が高いとは言えない物件が高く決まることもありますが、個別の事情であり、そこに不動産会社の営業努力が認められる場合があっても、最終的に決めるのはエンドのお客様ということが実態なので、大半は「決まった」と表現するのが正確です。また、相場より安く決まった状況とすれば、市場把握のミスや、その他の事情で早期に決めるため相場より安く決める場合があるかもしれません。

同じ物件でも成約条件が異なる点で、成約条件の差異は不動産会社の優劣を明確にする可能性はあります。単純に高く成約しても空室期間が長期化したら運営収益の観点で優秀とは言えません。売却を視野に高単価での成約を目指し、募集単価を下げない方針もありますが、何も工夫しなければ、誰でもできる手順に過ぎません。希望条件でチラシを配って、その条件ですぐ決まる物件であれば、不動産会社の役割は極めて限られたものとなりますが、そのような物件であれば、少し工夫してより高く決めようとするのが通例です。最終的に賃貸物件を決めるのは借主であり、不動産仲介会社ではありません。そのような関係性を踏まえ、一定の募集期間内に一定の水準で成約に至る条件を導くのが不動産会社の役割です。例えば、本来決まる賃料水準を100とし賃料水準90で稼働率100%を達成した場合と、賃料水準100で稼働率95%を達成した場合、後者の賃貸収入が多く(90✕100%<100✕95%)、優れた運営と言えます。

むやみに高い稼働率を誇る不動産会社はあまり多く見られませんが、不動産オーナーは空室を避けたいので、極力埋めようとしています。そのような場合は埋めるために条件を下げる場合もあるので、稼働率だけでは営業力を明確に把握することはできません。オフィス空室率は新聞等で発表される通り、エリアごとに稼働率の傾向があり、不動産会社はそれらを踏まえ空室期間に読み替えます。例えば、5%の空室率であれば、10室(各室同面積)のビルのうち1室が6ヶ月間空室という状況です。([(9✕12+1✕6)÷10✕12]=95%) 実務的に、平均的な稼働率は維持しつつ、その範囲でできるだけ高い賃料水準を目指すのが一般的な不動産会社の役割です。

当社は新規テナント募集や契約中テナント更新に際し、詳細な市場調査を行い、賃貸収入の最大化を実現します。募集条件が高過ぎればいつになっても決まらず、安過ぎればすぐに決まりますが、どちらの場合も物件の収益を損ないます。テナントに納得して頂けるような調査は非常に手間がかかる部分もありますが、市場の実態を把握するため、テナントの物件探しにおける調査項目などを網羅し、その精緻な把握に努めています。

テナントの立場ですと、以下のような調査項目があります。

契約面積における専用比率(ネット率)

契約面積すべて専用使用できるとは限らず、同じ契約面積でも実際に収容できるレイアウトが異なるため、ネット率は様々な物件をテナントが平準的に比較するのに不可欠の情報です。物件ごとに異なるネット率は、個別に確認しないと把握できない情報です。オフィスビルを探す条件に希望面積帯がありますが、縮小であれ、拡張であれ、現状の契約面積(専用面積とは限らない)を前提に設定するケースが大半です。そして、契約前に希望レイアウトが実現できるかを必ず調査します。同じ契約面積であっても収容可能なレイアウトは異なるためです。このネット率、オフィス仲介会社であればテナントに貸室情報として提供しますが、オフィスを得意としない仲介会社は漏れることもあります。

延床面積における専用比率(レンタブル率)

専用面積が同じでも、共用面積(トイレ等水回り、ホール、避難経路等の区画)は異なります。レンタブル率の高い建物は貸主には収益性が高く見えますが、テナントには使い勝手が悪く、共用部分が不足し、建物グレードが劣る傾向にあります。そのような物件は周辺より高い条件の成約は困難で、空室が長期化することもあります。オフィス物件を検討するとき、テナントにとって共用部分のグレードは重要な指標です。物件を評価するため、見たときの印象だけでなく、建築面積との比較など、レンタブル率が物件のグレード・利便性の指標となります。

募集条件

募集期間は重要な賃貸情報です。周辺より長期空室となる物件は募集条件が適切でない場合が多く、選ばれない結果としての空室長期化です。募集開始日は募集資料で把握し辛いため、定点観測等、工夫して把握のうえ、妥当な賃貸条件を設定するための指標とします。貸室が成約した場合の募集期間は物件稼働率を算定するための根拠にもなり、募集期間の把握に必要です。それらの集計値はエリアの稼働状況となり、個々の物件の募集期間設定の参考になります。募集期間内に成約が見込まれない場合は、募集条件が高過ぎると判断できます。

公開された募集情報は募集条件の一部です。様々な募集条件がチラシ等の物件資料に記載され、加えて、仲介会社の紹介時や物件の内見時に情報が補足されます。例えば、当初より条件交渉が可能、もしくは、条件交渉される前提の物件もあるので、募集条件だけで市場の判断はできません。募集条件だけで判断するのでなく、それ以外の条件を把握することが必要です。これらもテナントが物件探しを行うときは提示される情報です。

成約条件

テナントにとって成約条件は唯一、合意した条件に過ぎません。賃貸市場を把握するためには、それらの情報の蓄積が必要であり、賃料鑑定でも成約事例は重要な要素です。

賃貸オフィスは募集条件で成約するとは限りません。都内賃貸住宅は募集条件で成約する傾向がありますが、賃貸オフィスは事業者間取引ということもあり、申込後の交渉を経て成約条件が決定します。個別の交渉結果である成約単価を把握するのは困難です。しかし、市場を把握するのに有効な情報は成約事例です。公開する募集条件は未公開・相談としつつ、下限賃料という表現で目安を設定する募集事例も見られます。公開された下限は募集条件に過ぎませんが、下限または目安の条件を提示しない物件もあります。成約までの空室期間も重要な指標であり、物件ごとに募集期間目安の参考になります。

それら成約情報を把握できた場合でも、最終結果だけで判断すると市場を見誤る場合があります。例えば、条件を減額したらすみやかに成約した貸室の情報について、募集開始日と成約日の期間の長さと成約条件を表面的に把握した場合どういう判断になるでしょうか?それらの情報だけでは、この安い条件でも長期間決まらなかったので厳しい市場、と判断するかもしれませんが、その判断が適切かは定かではありません。下げてすぐ決まった場合、一度成約したがキャンセルとなった場合、条件的に下げ過ぎだった場合など、様々な可能性を見過ごす可能性があります。加えて、ビル内のテナントが借り増しした案件では、そのテナントの既存室賃貸条件が基準となり、成約条件のわりに空室期間が短いなど、市場水準と異なる場合があります。近隣テナントが分室として賃借した場合や立ち退き移転なども同様です。判断を正確に行うためには、常に市場を把握し、定期的な調査を通じた正確な情報とそれを背景とした市場観が必要です。正しい情報収集だけでは正確な判断はできない可能性があるため、経験と知識が不可欠な部分です。

個別の市場データには、様々な切り口があり、特殊事情に配慮し、総合的判断により市場を正確に見ない限り、妥当な募集条件を導くことができません。確実な情報を積み上げ、市場の実態を把握することが不動産会社の役割だと当社は考えております。

以上の項目は市場を把握するために行う物件情報の調査項目の例です。これらは相場調査というより、物件調査の積み重ねという表現が妥当です。当社はしっかりした物件調査を目指します。

2. 賃貸条件交渉?

不動産の交渉は、知識や経験のない方には、いろいろな駆け引きをしているイメージを持たれるかもしれませんが、実態は3択です。貸主条件のまま、借主条件に応じる、もしくは間をとる、です。間をとる例は、貸主募集条件と借主申込条件の真ん中とする場合や賃貸条件の単価は貸主条件のままフリーレント(賃料免除)を提供する場合などのパターンがあります。交渉の帰結は貸し手市場か借り手市場かによる部分もあり、例えば空室率5%が借り手市場と貸し手市場の分岐点などという意見が見られますが、当然ながら傾向に過ぎませんので、個別性のある部分です。市場の実態を見る手間を省き、平均値に依拠すると個別の判断を間違えます。競争力の高い物件は空室率や相場とは異なる高い水準で成約します。競争力に欠ける物件の場合、ある程度の借主希望条件には応じた方が良い場合もあります。これら、個別状況を把握して判断するのが不動産会社の役割です。

当社は貸主之立場で募集条件について、競合物件と当社募集物件を比較のうえ設定します。当社募集物件と競合物件が同等であれば、競合物件と同等の条件が妥当です。しかし、当社募集物件の方が優れていれば競合物件以上の条件設定が可能です。収益性を高めるには競合物件より優れた物件とする取組が必要なのでリニューアルも計画的に実施しています。リニューアルは多額の費用がかかる点で事前の準備を行い、適切な工事タイミングを逃さない取組も必要です。例えばテナント退去時の原状回復工事と同時にリニューアル工事を行うことで、工事費用を抑制することもできます。これらの工事費用は建物のライフサイクルコストでかなり比率を占めるため、計画的な準備が必要です。常に物件の収益性を最大限するため、日頃からリニューアル計画を含む運営管理を行います。

また、不動産の取引は仲介会社を介することが通例で、日本では同じ仲介会社が借主と貸主、それぞれの代理人となります。海外では不動産エージェントは一方のみのエージェントとして、利益相反を避け、依頼人の利益最大化を目指すのが本来の在り方のようですが、日本では仲介会社が自社の利益を喪わないため取引を成立させることを最大限優先します。

一方の利益を最大化するのでなく、契約成立の範囲での調整を旨とする取引慣習のもと、仲介会社は賃貸条件について契約成立を優先させる形で調整することが効率的な手順です。1つのテナントのオフィス探し案件に複数の仲介業者が提案を行う場合があり、成約できなければ仲介会社は収入が得られない事情も影響する部分もあります。

そのような傾向を踏まえると、本来、不動産の貸主は仲介会社を優越する営業技術が求められますが、実務的には間を取ってよしとする意識が見られます。意欲的な貸主として大手不動産会社はしっかりした交渉を行い、価格を下げないよう対応しますが、一律である点は良い部分もありつつ、収益機会を逸失するリスクもあります。本来は個別案件ごとにきめ細かな協議が必要と思われます。

以上、様々な切り口がありますが。当社は適切な条件での成約のため、個別事情を把握しつつ、きめ細かな交渉を目指します。

3. ビル開発専門家?

大手不動産会社や大手ゼネコンがブランド名を冠したオフィスビルを開発する事例が見られます。オフィスビルブランド例として野村不動産のPMO(第1号は2008年)シリーズが50棟以上の実績があり、野村不動産が関係するREIT 等を含めグループで運営をされています。

当社はPMO シリーズと同時期にNEWSシリーズを開発しており、2023年6月時点での竣工実績は6棟とスケールは小さくなりますが、建物延床面積1,000㎡から5,000㎡まで、敷地スペックを最大限に活用した賃貸オフィスビルを開発し、投資家への売却や開発業務受託なども請負う点でフレキシブルな開発実績があり、現在も積極的に開発に取り組んでいます。また、東京都建築士事務所協会の東京建築賞受賞物件が賃貸住居3 棟の実績(3棟受賞不動産会社は当社のみ・2023年6月現在)があり、建築専門家からの開発力の評価も得ています。このように質の高い不動産開発を行う不動産会社は稀有な存在と自負します。大手不動産会社は上場企業が主体であり、一定期間内での事業成果を最優先とするため、作品でなく、商品として最適化されます。NEWSシリーズは建築作品的要素も配慮し、優れた空間を実現するため、必要であればメリハリのあるコスト負担も厭わない点は特筆される要素です。賃貸オフィスは趣味の建物ではない点で、作品的要素は競争力の源泉とするための部分です。物件の運営管理を通じて、競争力のある物件を把握し、開発にフィードバックしており、それら具体的な取組は各々のNEWSシリーズ物件をご覧頂きたいと考えております。例えば、共用会議室、セキュリティ機能、耐震機能などオフィスビルに求められる先進機能を導入し、運営を通じた改善を繰り返すことで、テナントに選ばれるオフィスビルであり続けるための取組です。

物件の競争力を事業性に反映させるべく、募集営業に注力しつつ、更に競争力のある物件を開発するサイクルを繰り返すことで当社は常に質の高い開発を目指しています。

4. 開発相談先は建築関係?不動産会社?

建築関係の開発プレイヤーとして設計事務所やゼネコンがあり、建築技術に優れていますが、どんな貸ビルが良いか把握しているとは限りません。大手ゼネコンは開発ビルを投資家への販売事例がありますが、昨今は不動産価格高騰もあり、開発案件が減少した印象です。開発を行う不動産会社は将来の自社グループの収益を見込んで多くの案件の取組事例はありますが、外部の中小案件の対応は整わない場合が多くみられます。特に大手不動産会社の開発案件は関係するREITなどに組み込まれることはあっても、外部に出る例は少なくなっています。

当社ではリーマンショック直前に投資銀行(リーマン・ブラザーズ)による開発設計企画業務の受託案件に取り組みました。この案件は金融危機により実現していませんが、今後も開発受託を行う体制にあります。案件出口に応じ、当社は開発受託だけでなく、セイムボード出資など柔軟な対応が可能なので、投資家だけでなく、事業法人、個人などからの受託営業も展開して参ります。開発業務は建築技術的な側面に限らず、大家の立場で様々な知見が必要ですが、当社自身の開発を通じて得た知見をもとに不動産開発コンサルティングにより、事業拡大を目指します。

5. 不動産運営開発No1?TPM

当社代表の佐々木泰樹は1960年代に不動産業に従事し、1980年代から賃貸オフィス開発設計企画80棟以上の実績があり、半世紀に亘るオフィスビル開発・運営の蓄積を有する国内有数の賃貸オフィス開発専門家です。TPMグループでは佐々木以外にも不動産開発や運営管理の経験を積んだスタッフが各部門に在籍しており、今後の事業拡大を目指し、新規採用を行い、組織拡充に取り組んでおります。グループの特長である不動産開発能力と不動産運営能力を更に高め、外部からトップレベルの不動産会社という評価を頂けるよう、スタッフ一同、努力して参ります。