新着情報
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現代俳句協会のネット句会に6月20日下記3句を投稿しました
あいをかたれず
蝉はながらえる
自生する水わさび
悲しみの深さをはかれ
傷つきうまれ
さらに傷つき
化けて死を全うせよ
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無国籍者699人
間違った法律をみるたび、法律の関係者に賢い人は1人も居ないのかと思ってしまう。
離婚後300日以内の出生は前夫の子、とする民法が699人の不幸を生んだことに弁解の余地はない。
余程、もてない男がつくった法律なのだと思う。
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すばらしいお手紙なのでご紹介させていただきます。
漂流郵便局 8
「初恋の人は散華いたしました」
<私事で恐れ入りますが、私の初恋の人は江田島の海軍兵学校生徒でありました。彼は航空兵として志願し、特攻兵として九州から沖縄に出撃して敵艦に突入し、散華いたしました。23歳でありました。いずれ彼の元に行くであろうまで、恋しい人あてに手紙をしたためさせて頂きとうございます>
<浩之さん、お正月に、愛知にある航空博物館に行ってきました。ゼロ戦を見るうち、涙がこぼれました。おおぜい亡くなられた若者の中に、浩之さんもいらしたのね。もう73年も月日が流れましたが、今でもあなたの面影が胸から去りません。最後のお手紙の文面も、胸に焼き付いています>(2018年1月)
<わたし今、戦争や特攻の本を読んでいます。あなたの搭乗されたゼロ戦、切り抜いてノートに貼っています。あの時代、いまの若い人に理解できるのかと思いますが、思いの外、大勢の方に特攻に関する本が読まれているそうで、現代の若者にも胸うつものがあると思います>(18年2月)
<貴郵便局が、天国に通じる電話のように思えます>と書かれた手紙には、「数え89歳のおばあさん」とあった。
いずれも便箋4枚ほどに、細かい文字が並ぶ。
6月6日 夕刊 読売新聞
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2018年6月18日
老人は
未明に
ふぐりを干す
あいをかたれず
蝉はながらえる
大井町線車輌
顔のない孫が
立っている
自生する水わさび
悲しみの深さをはかれ
きじばと半矢
草かげに屹立する
傷つきうまれ
さらに傷つき
化けて死を全うせよ
わたしが死ぬと
あなたは堪えられないから
わたしは死に切ることができない
死にきれるか
死にきりたい
死にきる
わたしはセコハンなんだ
とハタチの女が
男に言った
あなたがわたしを好きなのは
わたしがあなたを100倍も
好きだからなのです
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2018年6月13日
いとしい
血流のゆらぎ
脈をとる
ことごとくかたむいて建つ
東京タワー遠景
漂流郵便局気付
にほんごは自縄する
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2018年6月11日
汐がひき
砂城をつくる
ひとり
汐が引き
砂城を造る
ふたり
汐が引き
砂城を造る
指をください
刺青欲情
マスカラながれる
情交汗
落下して
ひらく刺青の花
冬海に情交する
築地警察死体安置所
野鳩半矢
草陰に屹立する
重い過去は
過去ではない
雨垂れ
いっしょに
死んでくれますか
雨垂れ
やったら
一生離れない
雨垂れ
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2018年6月8日
1億年まえは
くれーんだった
千年まえから
ここに居る
ふせいみゃくのあいまに
酒を呑む
ひふからひそかに
風花が舞いあがる
恋文はいつも小説
漂流郵便局気付
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2018年6月5日
抱かれる
幼児の夢の
夏列車
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2018年6月4日
ナイフを作る
焼入れが難しい恋
淵の恋の
肥後守の不整脈
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2018年5月28日
デスマスク
紅を
帯びる
杉小立
妄執を
弔う
鰯雲
死ぬのなら
刺しちがえなさい
闇が降り
子らの声が
消えた
故里は
悪の巣窟
ナイフ研ぐ
五月雨
きょうも会社は
たのしかった
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2018年5月17日
湯割り呑む備前焼に
森の陽こぼれる
酸素計を見ながら歩く
五月の夏
90度傾いて眺める
土と草と走る人と
五月の風