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2018年6月18日
老人は
未明に
ふぐりを干す
あいをかたれず
蝉はながらえる
大井町線車輌
顔のない孫が
立っている
自生する水わさび
悲しみの深さをはかれ
きじばと半矢
草かげに屹立する
傷つきうまれ
さらに傷つき
化けて死を全うせよ
わたしが死ぬと
あなたは堪えられないから
わたしは死に切ることができない
死にきれるか
死にきりたい
死にきる
わたしはセコハンなんだ
とハタチの女が
男に言った
あなたがわたしを好きなのは
わたしがあなたを100倍も
好きだからなのです
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2018年6月13日
いとしい
血流のゆらぎ
脈をとる
ことごとくかたむいて建つ
東京タワー遠景
漂流郵便局気付
にほんごは自縄する
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2018年6月11日
汐がひき
砂城をつくる
ひとり
汐が引き
砂城を造る
ふたり
汐が引き
砂城を造る
指をください
刺青欲情
マスカラながれる
情交汗
落下して
ひらく刺青の花
冬海に情交する
築地警察死体安置所
野鳩半矢
草陰に屹立する
重い過去は
過去ではない
雨垂れ
いっしょに
死んでくれますか
雨垂れ
やったら
一生離れない
雨垂れ
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2018年6月8日
1億年まえは
くれーんだった
千年まえから
ここに居る
ふせいみゃくのあいまに
酒を呑む
ひふからひそかに
風花が舞いあがる
恋文はいつも小説
漂流郵便局気付
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2018年6月5日
抱かれる
幼児の夢の
夏列車
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2018年6月4日
ナイフを作る
焼入れが難しい恋
淵の恋の
肥後守の不整脈
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2018年5月28日
デスマスク
紅を
帯びる
杉小立
妄執を
弔う
鰯雲
死ぬのなら
刺しちがえなさい
闇が降り
子らの声が
消えた
故里は
悪の巣窟
ナイフ研ぐ
五月雨
きょうも会社は
たのしかった
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2018年5月17日
湯割り呑む備前焼に
森の陽こぼれる
酸素計を見ながら歩く
五月の夏
90度傾いて眺める
土と草と走る人と
五月の風
- 俳句 | 2018.06.18