*ーある予言者の言葉 カーリル・ジブラン(金関寿夫訳)ーより
互に愛し合うがよい、
だが愛のちぎりなど、
決して結んではいけない。
きみたちの魂の岸辺、
そのあいだに波立つ海を置くのだ。
互に盃を満たし合うがよい、
だが同じ盃から飲んではいけない。
互にパンをわかち合うがよい、
だが同じかたまりから食べてはいけない。
共に歌い、踊り、笑いさざめくがよい、
だが、互にひとりだということを忘れてはいけない。
同じ楽の音に震えてはいても、
琴の糸は、一本ずつ分かれているのだから。
きみたちの心を与え合うがよい、
だが互にそれを我がものにしてはいけない。
共に立つがよい、
だがあまり近寄って立ってはいけない。
寺院の柱は離ればなれに立ち、
樫と杉とは、
互いの影の中に育つことはないのだから。
- わたしの好きな詩の一節 | 2008.12.25
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