折笠 美秋

鬣編集部から折笠美秋氏の句集を贈っていただいた。

堪能して読ませて戴いた。作品のいくつかを紹介したい。

 

北里仰臥滴々/呼辭記  折笠 美秋

・雪明り死者は夢見ることありや

・我れ病みたれば夢にも雪降る妻ならむ

・涙をお拭き 明日へ 雪明かりの妻よ

・雪の妻 泣くのは明日 泣くのは明日

・風あれば風と化し来る春の妻

・薫風と妻に書かせてみたりけり

・花浴びて妻と居りこの今生に

・抱き合いていのち減りゆく夕陽中

・相模野の時雨は死後へ降り続く

・海の蝶最後は波に止まりけり

・淋しくて膨んでみる月下の海

・やさしく溶けよ妻が来る雪帰る雪

・青空を舞い落つ不覚の雪一ひら

・胸中に同じ雪降る妻と我れと

 

・篝火や

 

昨日炎えたる

二人あり

・かなしさや

抱き合うて

地に

落ちる雪

・なお生きて

なお雪に舞う

蝶ふたつ