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塔の家

家と住み手との関係は、住み手のリズムや体力、気力によって当然関わり方が変わってきます。施主は何となくそういうことを分かっていて注文を出すわけだよね。

神宮前の「塔の家」は若い頃は良いけれど。東さんもけっこう頑張ってつい最近まで住んでいたね。60過ぎまであんな狭い所を階段で上り下りするのはやっぱり大変だよね。今は娘さんが住んでいるそうですね。

洗面器

住宅の仕様についてですが、ハイセンスな輸入品ではなくて昔から使われている、個性のないありふれたものが良いですよね。洗面器や蛇口など、いかにもデザインしているものじゃなくて。シャワーなんて一番安いものでいいよね。

 ―僕は正直、その点は本質的ではないと思っているので、性能さえ確保できればクライアントの好きなものにすれば良いと思っています。アトリエワンの塚本さんなんかは、市販のボールに穴をあけて洗面器にしていました。洗面器は陶器のものを選ばなきゃ、という固定観念が強いんですよね。(本橋)

職人の技術

職人の技術というのは、本当にごまかしがききません。

溶接だとやっている姿を遠くから見るだけで、腕がいいかどうかがわかるそうです。リズムなんですね。目に見える所は誰でもできるんだよ。鉄骨の溶接のポイントは、表面じゃなくて中なんだよね。腕がいい奴はちゃんとそこまで届いているんだよね。

友達が釜石でやっていたんだけれど、あそこは腕がいいのが集まっているんだよね。新日鉄があるから。

施工図

建築の図面を見ていると枚数はあるけれど、詳細なところは描いていないものは多いよね、仕方がないのだろうけれど。その場合、現場が進んでいく中で、工務店に根掘り葉掘り聞きながら詳細を詰めていかないと、力が付かないよね。基本的にはこちらで決めつけるんじゃなくて、工務店に施工図を描いてもらってやれば良いんだよね。最初から全部出す必要はない。工務店の方が経験あるんだから。

こっちから出しちゃうと、経験がないのがばれちゃうからね(笑)

実施設計

木造住宅の実施設計を学生はやるの?

 ―基本的には学生はできないですよ(本橋)

計画は課題でやったりするでしょ。

 ―基本的には実務とは違いますよね(本橋)

でも図面上では一度やればすぐ覚えるんだろうけれど。図面はあくまでも一般論でしかないし、概念みたいなものだから、現場に出ればできないことがいっぱい出てくるよね。

本来的にはクレヨンで書いていたって、伝われば良いんだけれどね。