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地下は恐い
ビルをつくるときのことですが、地下は何が出てくるか判らないですね。この前、京橋の物件で恐らく川があったのだと思いますが、戦前の護岸でコンクリートが打っているのだけれど鉄筋が入ってないんですよ。だから壊す時に重機で掴んでもその部分しか持ってこれなかったんです。鉄筋が入っていればゴソッと持ってこれるのですけれど。それは往生しました。
そこは土地が50坪もないところで、その工事だけで3,700万円です。上モノは350坪程度しか建たないんですよ。それだけで坪10万オーバーするわけです、地下の埋蔵物の解体だけで。そういう押し競饅頭ですよ、ずっと。
腕のいいゼネコンさんなら工法の変更を主張しますね。変更部分は別途工事になって特命発注になるから、設計変更の多い現場は儲かります。技術力があるからこそバンバン設計変更ができますよね。だからその辺りは、もう勝負なんですよ。我々と比べてやっぱりゼネコンの方が技術的な情報を持っているから、どうしても押され気味になりますがね。
バランスのいい設計
貸しビルでどのようにつくるとテナントが付くか、家賃が取れるかというのは、ビルをつくる会社によって大きく違います、バランスの良し悪しとか。ビルの設計でバランスが良いと思うのは、やっぱり三井さんですね。どうやったら家賃を高くして貸せるかは銘々人によって違いますから、バランスは大切です。マンションを見てもそうですよね。
昔は自分のブランドに誇りをもっていて悪いマンションをつくらないというポリシーをちゃんとした会社ならありましたが、今はそうじゃない、儲かれば良いという雰囲気になっています。平気で梁をだして、梁を欠き込んだところで天井高がいくらかと書くし、空調機は壁付けで、配管が壁伝いに現しです。無論それによって、工費が安くなっているのですが。天井高をとってそういうものを見えないような納まりにすれば、もちろんコストは上がるし容積も戸数も取れなくなるのですが、昔はそれでやっていたんですよね、いい頃は。
その点、事務所ビルはまだいいでしょうね。このビル(聖路加タワー)も計画だけで3-5年はかかっているだろうし。そうなると大手の設計事務所でそもそも頭のいい連中が時間をかけてやるわけなので、ソツのない建物はできますよね。大型ビルだと我々のような小さなところは弱いよね、特に防災計画の帳尻を合わせるのが。設計の中心が防災になるんでしょうか。
建て売り住宅
若いうちはパワーがあるから、行っちゃうんだね。歳をとってくるとパワーがなくなるから、いつまでも逡巡するんですよ。若い頃はパッと土地を買って、パッと作って、パッと住んで、それでもう終わりということもあったけれど。25の時にイージーオーダーで建て売りを買いました。こちらが全部図面を描いて、材料も相談して決めて。準防火地区だったと思うけれど、その家だけ職人に木サッシを作らせて。1年は住んだかな。(笑)
26歳で会社を作ったから、家を売って会社の資本金にしました。初めて設計したのはその家ですね、建坪9.5坪、総2階建てで19坪でした。
富士の別荘2
富士山の別荘ですが、第一山荘と第二山荘を隣同士で作ったんですよ。一つはきれいにソツがなくつくって、普通の風呂にスウェーデン製の輸入のストーブ。火は見えません。もう一方はワンルームにして一間四方の囲炉裡でもって火を焚くんです。バンバン焚くと、囲炉裡の火で日焼けするんですよ。(笑)風呂は露天にしました。キッチンの上が中二階になっていて、寝室になっていました。その下にはサウナがあって、熱が上がって暖かかった。
やっぱり予約はそっちの方が多いんですよね。別荘が普通の家と同じだったら、家にいれば良いということになりますからね。
富士の別荘
昔、20数年前に富士山の三合目に別荘をつくったんですよ。その時には小淵沢だとか向こうの方までずっと見に行きましたが、富士桜という初期の頃の別荘地で周りに家なんて無いようなところで、道路も舗装されていないような。一区画100万円で土地の面積は100坪なんだけれど、周りに家が建っていないからみんな自分の土地みたいなもんなわけ。(笑)それでつくった上モノは2000万です。
屋根は45度の切妻で、屋根のてっぺんまでは10mくらいありました。大きなクレーンをもってきて、屋根を持ち上げましたね。そこでやりたかったのは、囲炉裡で火を焚くこととみんなで入れる露天風呂です。4,5回行けば良いかなと思っていましたが、結局けっこう行きましたね。