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河村政敏先生のこと
大学生のころ唯一講義を聴講させていただいた先生である。上田敏の海潮音とか吉田精一の著作をテキストに使っておられた。ヴェルレーヌの訳詩を記憶している。佐々木君は太宰治は読まず嫌いだろうとか、大江健三郎より吉行淳之介のほうが好きだろうとか、江藤淳の成熟と崩壊はいいよとか、わたしの詩についても、授業中にとりあげられた。わたしの同人誌に寄稿していただいた批評文は一見して読むと褒めていただいているようでよく読むと痛烈な批判であった。また短歌を何首もお教えいただき今でもいくつかは諳んじている。青木敏浩という友人と47年まえ稲村ヶ崎の先生のご自宅に勝手にお伺いさせていただいたが残念ながら御不在だった。青木は大学の学生執行部の委員長をし学生運動の中核派でもあり下手な詩も書いておりましたが翌年自殺しました。
ネットを見ておりましたら先生のご住所がわかりましたのでペンをとらせていただきました。26才から会社を経営しておりますが社員向けに書いた雑文を纏めました本をあつかましくもお送りさせていただきました。
先生は紀寿をお迎えになられるのですね。
いつまでも健やかにお元気でおられますことを心よりお祈りしております。
*
わたしにとって言語とは何か
言語にとってとは考えない
わたしにとっての言語であり
わたしをはなれては存在しない
かなしみにひそみ
いかりにひそみ
夕焼けのむこうにひそむ
言語を定着液にひたし
それから洗うけれど
わたしのちりめんの皮膚のように
定着しようとしない
*
絵も音楽も、
言葉は不要だ。
人を見るとき、
絵と音楽を思う。
思うとき、
言葉が生まれる。
右の絵と左の絵と同じ絵はどれか。
5歳のときに受けた質問だ。
その時から、
先生は頭が悪いのだ、
と思っている。