科学者について

科学はマクロからみてもミクロからみても誤謬の歴史である。1000回挑戦して999回判断を誤る。それが科学であることを知っている人は多くはない。10%も分かってはいない、という考えが優れた医学者なのだと思う。何を知っているのかが大切なのではなく、何を知っていないかを知っている人がほんとうの優れた医学者なのだと思う。

自己の経験の総体的な知識を信じるのではなく懐疑的思考の原点を信じたほうがよい。専門分野のトップクラスの医学者たちの前でみずからの謙虚な考えを述べ、彼らに尊敬されなければならない。

ひとつの事実として疑問を提示された場合、信用できないと表現するのではなく、みずからの見解を証明する資料を提示します、と答えなければならない。わたしは科学者だからそういうことは知っている、という発言は、優れた科学者はしてはいけない。1000人の科学者がいて誤った判断をしたことがない科学者はひとりもいない。医師は謙虚でなければならない。わたしは謙虚な医師のみを尊敬する。それ以外の医師をわたしは否定する。